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公益社団法人 日本ゲートボール協会

ニュース

2010.02.12

JGU

エッセイ部門 入賞 初試合の第一ゲート

蒲谷敏雄 さん(岩手県・83歳)

 二年ほど前に友人からゲートボールをやらないかと誘われた。その頃はゴルフ、グラウンドゴルフ、パークゴルフなどで結構忙しかったが、高齢化で会員が減ったとの事で妻と一緒に入会した。
 見た事も無いクラブの形状、ルールは厳しくて審判員がいるし、老体には酷な十秒という時間制限、団体戦という今迄やって来た個人スポーツになかった責任感、ゲームの流れはすべて主将が仕切る等々。それでも妻にボールの打ち方をそれとなく指導しながら仲間達と和気あいあいの練習を重ね、いよいよ初試合となった。
 私のゼッケンは八番、主審の「プレイボール」の合図で試合が始まった。「一番、第一ゲート通過!」、主審の大きな声が響く。二番、三番と通過していき、四番の妻も難なく通過だ。五番、六番、七番と、みんな通過していく。内心は一人や二人は通過しないことを祈ったが無駄だった。いよいよ自分の番が来た。主審に「八番」と呼ばれたとたんに緊張が頂点に達した。どうか通過してくれ、願いは空しく散り、主審が冷たくボールを私に投げてきた。二回、三回と回を重ねるごとに、こんな筈ではない、仲間に申し訳ない、恥ずかしい等の惨めな思いを一人じっと耐えた。したがって試合の状況を見る余裕など全くない程の落ち込みだ。ところが試合終了三分前に通過した。
「八番、第一ゲート通過!」、主審の大きな声が、落ち込んでいた私には気のせいか、「八番、第一ゲート、やっと通過」と聞こえた。
 ホッとする間もなく、すぐに主審の大きな声が聞こえた。「ゲームセット」。どうやら試合は勝ったのだが、何とも言いようのない苛立ちだけが残る。年下の主将が優しく慰めてくれる、「一点稼ぎましたよ!」。だが時間の流れは有り難いもので、今ではあの時の悪夢が懐かしい想い出となっている。しかし考えてみるとゲートボールは人間の人生に相似たるスポーツと思われてならない。
 勝利(幸福)という目標に向かって五人のメンバー(家族)が汗を流すが、一瞬のチャンスやミスで状況(運命)がガラリと変わる。泣いたり笑ったり、まさに人生を感じるスポーツである。
 今も第一ゲート通過に苦手意識はあるが、ゲートボールと言う人生ゲームが楽しくて、仲間達と老体に鞭打って頑張っている。

 完。

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