【文部科学大臣杯 第31回全日本ゲートボール選手権大会】
作戦分析~どのような作戦で戦ったか!?
【はじめに】 2015年10月24日(土)・25日(日)に広島県広島市の広島広域公園 第一球技場(天然芝コート)で開催された「文部科学大臣杯 第31回全日本ゲートボール選手権大会」では、序盤戦の作戦は、どのような作戦が選択され、どの作戦が好成績をあげたのか? 1次リーグ戦から決勝戦までの全119試合の序盤戦の作戦データを採取し、先攻と後攻に分けて分析してみた。 【コート状況】 屋外の球技場の天然芝グラウンドに設置されたコート。ティフトン芝は長めだったが、立つというよりは寝ているために、カーペットのようなコートで、打撃したボールに適度なブレーキがかかり、スライドタッチがかかりやすかった。しかし、グラウンドを左右の横から見ると、両端に向かって傾斜があり、とくに第2ゲートの地域が微妙な傾斜があり、ボールが曲がったり、止まったりして、ボールコントロールが難しかった。 【出場チームの内訳】 出場48チームのうち、これまでの本大会で上位に入賞しているのは25チーム、出場経験があるのが7チーム、初出場が16チームの内訳になる。 【文中の略語】 1G=第1ゲート 2G=第2ゲート 3G=第3ゲート GP=ゴールポール PT=通過タッチ TP=タッチ通過 LT=ロングタッチ ST=スライドタッチ WT=ダブルタッチ TT=トリプルタッチ OB=アウトボール 【各作戦名の説明】 |
《注》後攻チームの作戦の表に「第2ラインぎわ/浮き」という作戦が出てくるが、これは先攻の赤1番が第2ゲート周辺を抑えたとき、後攻の白2番が第2ラインよりも少し距離を離れた浮いた感じの位置に進み、後続の赤3番をスタートから誘い出そうという試みの作戦である。 【ゲームの結果】 後攻を選択した入賞経験チームが多かったため、後攻チームが勝ち越す! 先攻チームが52勝67敗と後攻チームに負け越した。 その内訳は1次リーグ戦72ゲームでは先攻チーム24勝、後攻チームが48勝となったが、後攻を選択した入賞経験チームの勝利数(41勝)が多かった結果だった。 2次リーグ戦36ゲームでは先攻チームが22勝、後攻チーム14勝となり、先攻を選択した入賞経験チームの勝利数(17勝)が多かった結果だった。 トーナメント戦は入賞経験10チームと初出場2チームが進出したが、計11ゲームでは先攻チーム6勝、後攻チーム5勝となり、いずれも入賞経験チームが勝利した。 先般行なわれた国体の公開競技、全国社会人大会では各コート4角リーグ戦、5角リーグ戦で各コート上位2チームがトーナメント戦に進出する方式がとられ、その結果先攻チームが攻勢を慎重にひかえた後攻チームに勝ち越していた。しかし、今大会では入賞経験チームが先攻、後攻のどちらを選択したかによって勝敗の結果が分かれたように思われる。 【先攻チームの作戦の傾向】 2G周辺での作戦で大きく負け越す 表1は先攻チームの作戦別勝敗である。 2G右前作戦、2G横(後ろ)作戦から2G2球作戦に転じたケースが増え、119ゲームのうち、50ゲームを占めていた。 しかし、打順の間隔が空き過ぎている2G2球作戦では、そのスキを相手チームによる付け球、あるいはスライドタッチによる相手ボールの接近によるタッチなどで25勝25敗と後攻チームとは五分の成績になった。 また、2G周辺での作戦でも第2ゲートを長い時間固持しようとしたために、後攻チームの攻勢を受けて21勝31敗と大きく負け越した【2G右前、2G正面、2G横(後ろ)の各作戦の合計】。 【後攻チームの作戦の傾向】 2G周辺での作戦のほか、第2ラインぎわ作戦、2Gロング通過作戦などで勝ち星をあげる 表2は後攻チームの作戦別勝敗である。 第2ラインぎわ作戦で17勝10敗と健闘し、2Gロング通過作戦で10勝5敗、強攻策5勝2敗、3G周辺作戦4勝2敗と勝ち星をあげた。 そして、先攻チームと違って2G周辺での作戦では12勝3敗と圧勝した【2G2球、2G右前、2G正面の各作戦の合計】。これは恐らく先攻チームが2G周辺を抑えられなかったことが心理的に影響し、攻勢をあきらめたものと思われる。 |
初優勝を飾った萬燈組(愛知) | 3回目の準優勝に輝いた小松島(徳島) |