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新ルールで戦い方はどう変わる?:世界選手権大会V3 第24回全日本世代交流大会V 長沼正知氏

 

 この4月から施行された新ルールは、技術や作戦など戦い方にも大きな影響を与えるものとなっています。そこで、新ルールで戦い方はどう変わるのか、プレーヤーとして全国制覇・世界制覇の経験を持つ長沼正知氏にお聞きしました。


世界選手権大会V3 第24回全日本世代交流大会V 長沼正知氏

新ルールで、戦い方にもっとも大きな影響を与えるのが複数打権の改正です。通過タッチとタッチ通過を除き、ダブル・トリプルタッチによる複数打権がなくなったことで、ロングタッチやスライドタッチでコートを大きく使うダイナミックでスピード感あふれる競技に生まれ変わりました。
これにより、いままで以上に技術の進化が求められ、スライドやジャンピングタッチにも様々なバリエーションが生まれることが予想されます。現在、いろいろ試しているところですが、すでに20種類以上の技を見出しています。たとえば、2球を同じ方向に進ませる「ドリームジャンピングボール」のように、ヘッドの角度など打ち方を工夫して自球の回転を操作することで、他球に当たったあとに自球の方向を変えたり、自球と他球の移動する距離を調節することもできます。さらに、柔らかい天然芝コートで有効な、上に向かってジャンプさせながらスライドする打法や、その逆にタッチをねらう他球を跳び越えてしまうことを防ぐ打法などもあります。とくに、横打ちは、またぎ打ちと異なり、ヘッドの角度を横から自分で確認できる長所があるので、そのバリエーションは無限に広がる可能性があります。岩手では、1つのプレーに失敗するたびに「そこに何かヒントがある」「ここから新たな技術を生み出せる」と考え、ゲームをしようという声に反応がないくらい集中して基礎練習に取り組み、ゲートボールの技術の奥深さを楽しんでいます。自分には難しいと考えるプレーヤーもいるかもしれませんが、ボールに語りかけるほど優しい気持ちで、肩の力を抜き、余計な緊張感や欲を関節にためず、関節をやわらかく保つことで、年齢に関係なく、技術向上を図ることが可能です。とくに、初心者の方はねらうボールを見たら、周りの景色が見えなくなるくらい集中しましょう。その集中力が、肩から余計な力を抜いてくれるはずです。そうして会得した技をゲーム感覚で大いに活用し、新生ゲートボールを楽しみましょう。
さらに、技術とともに、作戦のバリエーションも広がるでしょう。まずは、序盤のボール配置がガラリと変わり、いままでの定番作戦が一新され、様々な配置が出現するでしょう。序盤のボール配置も、いろいろ試しているところです。しかし、これらの配置も、いずれその対応策が現れるとともに、どんどん進化を遂げていくことでしょう。いずれにしてもボールは2個ー2個ー1個で組み立て、第1ゲート未通過球を2球ほど残し、相手ボールを付け球でアウトボールにするというような戦い方になると思います。そのアウトボールにする位置も、相手ボールがスライドタッチのセットができないような場所を考えなくてはなりません。そして、相手ボールがアウトボールの打ち入れによりインボールになったら、合わせ球などで対応することも必要です。点数を取ることも考えなければなりませんが、複数打権が得られるのは通過タッチとタッチ通過だけになりますから、いままで以上に厳しいものになるでしょう。点数を取りながら、相手ボールも抑えないといけません。お互いのチームがどこで動くか。点数をとるか、相手ボールを抑えるかのせめぎ合いです。しかし、そのせめぎ合いが厳しくなった分だけ、また作戦予想が楽しくなったともいえます。いずれにしても、ここで必要になってくるのは、技術と同様、集中力です。全国大会レベルのチームなら、競技時間終了から5〜7点を、残り5分で21点、残り8分でパーフェクトを取ることのできる技術の研鑽を積み、最後まで集中力を切らさないようにしなければなりません。それをチーム全員でどこまで練習できるかが勝負になるでしょう。また、初心者の方は、後半に何分くらいで、どのくらいの点数が取れるかを把握するように努め、リードされているときに短時間で味方ボールを集めて点数をとる方法などを練習しておくとよいでしょう。
このように技術、作戦ともにバリエーションが増えることで、いままで「ねらうゲートボール」を支持してきた強攻派のチームも生き生きと目を輝かせてゲートボールに戻ってくることでしょう。また、くぐるが勝ちのゲームもあり、当てっこする楽しさもありますから、ジュニアや初心者の方にも新生ゲートボールは無条件に楽しいはずです。そして、そこを入り口として、ゲートボールの奥深さに触れたら、ゲートボールの魅力から離れられなくなること必至です。新ルールによる楽しいゲートボールをご自身で楽しむとともに、思わず打ってみたくなるような話をしながら、ぜひ多くの方たちに紹介していただきたいと思います。現状維持を望むことは後退を意味します。教え子が次の教え子に楽しさを伝えるよう、皆さんで前向きにゲートボールを楽しみましょう。