公益社団法人 日本ゲートボール連合

全国ジュニアゲートボール大会

2019.10.31

【スペシャルエッセイ】ゲートボールの熱い理由(前編)

 ネットで話題となったゲートボール記事がある。若者に人気の娯楽サイト『デイリーポータルZ』に掲載された「なんで高校生がゲートボール部に入部するのか? ゲートボールの強豪校にきく」という記事で、ゲートボール未経験のライター「megaya」さんが埼玉県の朝霞高校ゲートボール同好会に体当たり取材し、ゲートボールの魅力を感じたままに余すことなく伝えた記事は大きな反響を呼んだ。

 

※「なんで高校生がゲートボール部に入部するのか? ゲートボールの強豪校にきく」の記事は、こちらからご覧ください。

 

 そのmegayaさんを、今夏、全国ジュニアゲートボール大会に招いた。はじめて全国大会を目にした彼は、どんなことを感じたのか? 

 スペシャル記事として、前編と後編の2回に分けて写真とともに掲載する。

 前編では、全国大会で特に熱いと感じたことをまとめていただいた。

 

[PROFILE]
megaya(めがや)
Webエンジニア / ライター
大学中退→ニート→ママチャリ日本一周→Webエンジニアという経歴で、趣味のブログが転じてライターを兼業する。「弟のクリスマスデートについていく」「カメラマンと素人で写真対決をしてみた」などの記事や、プログラマーへのインタビューなど幅広く執筆を行っている。

高校生の全国大会を見てわかった。ゲートボールは熱いスポーツだ。

ゲートボールは熱いスポーツだ。

 

ゲートボールと聞くと「おじいちゃん、おばあちゃんが公園でのほほんとやる遊び」のようなイメージがあるかもしれない。「熱い」と言われても想像できない人も多いだろう。

 

しかし、そんなイメージとはまったく逆であり、実際にはゲートボールは技術力、知力、精神力、チームワークなど様々な要素が絡み合う激しいスポーツなのである。

 

私はゲートボールの全国大会を今回初めて目の当たりにし、その熱量を感じた。甲子園を彷彿とさせるような青春がそこにはあった。

8月24日〜25日にゲートボールの全国大会が行われた。その大会を見に行って驚いたのが高校生や中学生、小学生が多く出場していたことだ。

 

さらに北海道から鹿児島まで全国から様々な学校が集まってきているのである。ゲートボールってこんなに若い人がやっているのか…!

今回の全国大会では「社会人」「高校生(男)」「高校生(女)」「小中学生(男女混合)」というクラス分けがされている。

 

その中で特に熱量が高いのは高校生の部だ。3年間という短い期間しか出場できないため、今年が最後の大会の選手もいる。そのため一球一球に重みがある。打ち終わった瞬間にプレッシャーから解放されて泣き出す子もいたくらいだった。

そんなゲートボールの熱さを伝えるために、ここからは全国大会を見に行って特に熱いと感じたことを8つにわけて紹介していきたい。

 

 

 

 1. 一球ですべてが決まる緊張感

ゲートボールは5人1組で行うチームスポーツであるが、打つ瞬間は1人だ。誰にも邪魔をされない。個人競技の側面もあるのだ。

 

そしてゲートボールは一球で試合が大きく変わってしまうことがあるため、一打が大切なのである。

「自分がミスをしたらチームが負けるかもしれない」というプレッシャーと常に戦わなければならない。精神力が強くないとできない競技だ。

 

さらに四角いコートの周りには親や友達、他チームなどがズラッと並んで観戦しているのである。その緊張感とも戦わなければならない。見ているだけでも手に汗を握る。

打ち終わったあとにプレッシャーから解放されて涙を流す場面も

 

 

 

2. 応援や歓声が熱い

ゲートボールのイメージ的に「静かに」「ゆっくり」とプレーしている姿を想像するかもしれない。

 

しかし、大会では一球ごとに歓声がわきあがり、選手たちも「止まれ!!」「入れ!入れ!!!」と声を張り上げる。

最後の一球で勝負が決まるときには会場は水を打ったように静まり返る

 

 

 

3.高校3年間のすべてが詰まっている

これはゲートボールに限らずどの部活にも言えることだが、やはり高校3年間の集大成を目の当たりにすると目頭が熱くなる。

 

週刊少年ジャンプでは「友情、努力、勝利」というジャンプ三大原則があるのだが、ゲートボールにはそれに通じた熱さがあるのだ。

ゲートボールのおもしろいところはスポーツなのに将棋に似ている部分があるところだ。戦略が非常に大事なのである。

 

5対5で交互に球を打っていき盤面が激しく変わる中で、常に相手の先を戦略を読んで進めていかなければならない。

 

1人が勝手なことをするとチームの作戦が総崩れしてしまうため、チームワークが大切なのである。

そしてその戦略を実行していくためにも、正確に球を打つ技術も必要だ。

 

出場している高校生たちは狙った位置に球を転がしていく。しかしこの「狙った位置に球をころがす」ということが非常に難しい。一度ゲートボールをやってみると努力なくしてこの技術力は身につかないのがよくわかる。

 

週刊少年ジャンプ三大原則の「チームワーク=友情」「技術力=努力」「大会=勝利」が揃っている。高校生にしかだせない情熱というのはやはり見ているだけで胸を打たれる。

 

 

 4. 年齢や体格が関係ない

小中学生の部は6歳〜15歳の年齢の子が出場するので、小学1年生と中学3年生が対戦することだってある。体格がまったく違う相手とも戦わなくてはならない。

 

しかし、ゲートボールはプレーするにあたり筋力や年齢がほとんど関係ない。誰にでも勝つチャンスがあるスポーツなのだ。

 

実際に今回の大会でも小学校の低学年のチームが次々に勝っていき、決勝まで上り詰めるほどだった。ジャイアントキリング!

この緊張感の中で戦っている小学生や中学生には尊敬の念すら抱く

小学生チームが中学生チームを倒す光景などを見ると、思わず声をあげて喜んでしまう。知らない子なのについ感情移入してしまう。

 

見に来ている親やOBの応援はもっと熱い。一球ごとに一喜一憂して歓声があがる。松岡修造かってくらい熱い。

5. 先生や監督が熱い

ゲートボールは先々の盤面を予測して戦う。将棋のように一手一手に戦略を持つ必要がある。そのため先生や監督がブレインとなって指示を出す場合が多い。

 

高校生やジュニアチームの場合は指示を出すのが部活の顧問の先生などの場合が多いのだが、この指示を出す先生たちも熱いのである。

ゲートボールは基本的に監督や主将が作戦を立てて、選手はそれを信じてひたすら打っていく。

 

つまり監督や主将の指示が間違っていると、いくら上手い選手がいてもまったく勝つことができない。先生たちもチームを勝たせるために必死になるので自然と熱くなっていく。

さらに作戦を頭の中で考えつつも、プレーしている選手たちがプレッシャーに負けないように励ましてメンタルをコントロールしていかなければならない。大忙しだ。

 

指示を出す監督にもプレッシャーがあり、もはや一人のプレーヤーと言ってもいいだろう。あらゆる部活の中でゲートボールの先生が一番熱くなれるのかもしれない。

6. 一人のプレーで大逆転できる可能性がある

ゲートボールは「他の球に当てるともう一回打てる」というルールがある。上手いプレーヤーだと一回の攻撃で何度も打つことができる。そのため1人で一気に逆転をすることが可能だ。

 

サッカーやバスケなどでは圧倒的な点差がついている状態で残り時間わずかだと逆転は不可能に近い。しかし、ゲートボールは最後の一球まで逆転できる可能性がある。試合の展開が最後まで本当に読めないのだ。

 

 

 

7. 終わったあとには友情

今回の大会で見ていて一番感動したのは、男子の決勝戦で戦っていた2チームが表彰式で笑いながら話していたことだ。

 

ああ、尊い…青春の1ページだ。これこそ週刊少年ジャンプ三大原則の友情、努力、勝利。ゲートボールを通してできた戦友だ。

 

 

8.ゲートボールはスポーツだ

 

大会を見る前はもっとほんわかしている試合を想像していたのだが、実際見に行ってみてその考えは大きく変わった。冒頭でも言ったがゲートボールはスポーツなのだ。

 

「あれ? 俺たしかゲートボール見に来てたよな? 今見てるのって別のスポーツだっけ?」と頭が混乱するくらい熱いスポーツだった。それがわかっただけでも大会を見に行けてよかった。

 

次回の記事ではさらに大会に参加した選手に、ゲートボールの楽しさや魅力を直接聞いていく。そちらも合わせてみてさらにゲートボールの魅力を知ってほしい。

 

 

【後編はこちら】ゲートボールの魅力を聞く
※なぜ高校生がゲートボールにハマるのか? 全国大会参加の、つゆちゃんず(和歌山)、マチルダ(北海道)、開成高校(東京)、星槎高校(神奈川)の選手・監督・先生へのインタビューを通して考察する。

 

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