公益社団法人 日本ゲートボール連合

国民スポーツ大会[公開競技]ゲートボール競技会

2023.09.28

【特別国民体育大会[公開競技]競技会】作戦分析〜どのような作戦で戦ったか!?

鹿児島県の指宿市営陸上競技場の天然芝コートで開催された「特別国民体育大会(燃ゆる感動かごしま国体)[公開競技]ゲートボール競技会」では、序盤戦の作戦は、どのような作戦が選択され、どの作戦が好成績をあげたのか?
男子と女子に分けて、序盤戦の作戦別勝敗数データを採取し、先攻と後攻に分けて分析した。

はじめに

会場の天然芝コートはティフトン芝が主体であるが、ゲート周辺の補修に野芝を使用し、その他の個所は高麗芝を使用していた。つまり、ふかふかとしたティフトン芝と、高麗芝より葉幅が広い野芝と、葉幅が狭くて硬い高麗芝の3種類の天然芝で構成されたコートだった。
打球のコースは芝目によって打球が曲がるという非常にボールコントロールが難しいコートだった。
データは男子、女子のリーグ戦から決勝トーナメント戦までの各32試合の序盤戦の作戦を採取した。

男子では、岐阜県が先攻で先攻で4勝1敗、後攻で1勝0敗の成績で第1位に輝いた

女子第1位の埼玉県は先攻、後攻ともに3勝0敗でどちらでも十分に戦える力を秘めていた

作戦名の説明

○主に先攻チームの作戦
2G2球=第1ゲート通過後に、1球が第2ゲート右前に、もう1球が第2ゲート横から後方に進む作戦
2G右前=第1ゲート通過後に第2ゲート右前に進む作戦

2G右前失=第1ゲート通過後に第2ゲート右前に進むのに失敗したケース
2G横(後ろ)=第1ゲート通過後に第2ゲート右横から後方に進む作戦
2G正面=第1ゲート通過後に第2ゲート正面に進む作戦

 

▽先攻チーム、後攻チームともに使う作戦
2Gロング通過=第1ゲート通過に続き、長い距離の第2ゲート通過をねらう作戦

2Gロング通過失=第1ゲート通過後、第2ゲート通過に失敗したケース
強攻策=第1ゲート通過後に第2ゲート周辺の相手ボールへのタッチをねらう作戦
強攻策失=第1ゲート通過後、第2ゲート周辺の相手ボールへのタッチに失敗したケース
2巡目強攻策=2巡目の第1ゲート通過後に第2ゲート周辺の相手ボールへのタッチをねらったケース

 

●主に後攻チームの作戦
第2ラインぎわ=第1ゲート通過後に第2ゲートと第2コーナーとの中間地点に進む作戦
第2ラインぎわ2球=第1ゲート通過後に第2ゲートと第2コーナーとの中間地点に2球が進んだケース
第2ラインぎわ失=第1ゲート通過後に第2ゲートと第2コーナーとの中間地点に進むのに失敗したケース
3G周辺=第1ゲート通過後に第3ゲート周辺に進む作戦
1G後方(第2コーナー)=第1ゲート通過後、第1ゲート後方、第2コーナー近くに進んだケース
GP周辺=第1ゲート通過後にゴールポール周辺に進む作戦
第1コーナー=第1ゲート通過後に第1コーナー近くに進む作戦

 

男子は先攻チームが19勝13敗と勝ち越す

ボールコントロールが難しいコートにもかかわらず、先攻チームは1巡目で確実に第2ゲート周辺を抑えた。
表1のとおり、赤字部分の2G2球作戦23ゲームを15勝8敗、2G右前作戦4ゲームを1勝3敗、2G右前失作戦1ゲームを1勝、2G横(後ろ)作戦2ゲームを1勝1敗とし、この30ゲームを18勝12敗と勝ち越した。
先手を譲ったのは、わずか2ゲームで完勝といってもよかった。

 

表2のとおり、後攻チームは青字部分の第2ラインぎわ作戦からGP周辺作戦の20ゲームを7勝13敗と負け越したことが痛かった。ただし、第2ラインぎわ作戦15ゲームは6勝9敗と健闘した。
黒字部分の2Gロング通過作戦から2巡目強攻策作戦までの8ゲームも5勝3敗と健闘したが、マイナス部分までカバーすることはできなかった。
先手をもらった赤字部分の2G2球作戦と2G右前作戦の4ゲームも1勝3敗と振るわなかった。

 

ちなみに第1位の岐阜県は先攻で4勝1敗、後攻で1勝0敗。第2位の鹿児島県は先攻で1勝1敗、後攻で3勝1敗だった。
 

女子クラスは後攻チームが17勝15敗と、かろうじて勝ち越す

表3のとおり、先攻チームが15勝17敗とわずかに負け越した。
赤字部分の2G2球作戦から2G横(後ろ)作戦までの24ゲームを12勝12敗と五分五分の成績とし、黒字部分の2Gロング通過作戦と強攻策失作戦の2ゲームも1勝1敗とした。
しかし、先手を譲った青字部分の第2ラインぎわ作戦と3G周辺作戦の6ゲームを2勝4敗としたが、負けた4ゲームは相手の2G2球作戦と2G右前作戦の勝みの速さに及ばず、ここで後攻チームとの差がついた。

 

表4のとおり、青字部分の第2ラインぎわ作戦から第1コーナー作戦までの17ゲームを9勝8敗とわずかに勝ち越した。
黒字部分の2Gロング通過失作戦から強攻策失作戦までの7ゲームを3勝4敗として、五分五分の結果。
そして、先手をもらった赤字部分の2G2球作戦から2G横(後ろ)戦までの8ゲームを5勝3敗として、ここで先攻チームに差をつけた。

 

ちなみに第1位の埼玉県は先攻、後攻ともに3勝0敗でどちらでも十分に戦える力を秘めていた。第2位の大阪府はすべて後攻を選択し、4勝2敗の成績だった。しかし、作戦は変幻自在、相手の出方次第でいかようにも対処できる試合巧者だった。

 

作戦分析・文/高橋隆輔(スポーツライター)
撮影/伊藤 守

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