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ニュース

2022.10.21

選手権

【第38回全日本ゲートボール選手権大会】作戦分析〜どのような作戦で戦ったか!?

はじめに

鯖江市東公園陸上競技場の天然芝コートで開催された文部科学大臣杯 第38回全日本ゲートボール選手権大会では、序盤戦の作戦は、先攻と後攻ではどのような作戦が選択され、どの作戦が好成績をあげたのか?
1次リーグ戦からトーナメント戦までの101試合の序盤戦の作戦を採取し、先攻と後攻に分け、作戦別に勝敗数データを出して分析した。

今大会のコート条件は?

陸上競技場のフィールドはほかの競技にも使用されていて、天然芝は丈が短くて枯れていたり、すり切れていたりしていた。各所に傾斜があり、ボールを目標地点に向かって強く打つと、左右どちらかの方向に転がり、短い距離を軽打すると曲がってしまうというボールコントロールの難しさがあった。
また、コート面はフカフカとして柔らかくて、スパーク打撃したあと自球が沈み込んで、そのまま自球を打撃するとジャンプして思わぬ方向に進むという状況が見られた。

小豆島豊栄(香川)は後攻に回ることが多かったが、唯一先攻で戦うことになった決勝戦をも制して優勝に輝いた

コート面がフカフカと柔らかいため、スパーク打撃も難しいコート条件だった

作戦名の説明

○主に先攻チームの作戦
2G2球=第1ゲート通過後に、1球が第2ゲート右前に、もう1球が第2ゲート横から後方に進む作戦
2G右前=第1ゲート通過後に第2ゲート右前に進む作戦
2G右前失=第1ゲート通過後に第2ゲート右前に進もうとして失敗し、アウトボールになったケース
2G正面=第1ゲート通過後に第2ゲート正面に進む作戦
2G横(後ろ)=第1ゲート通過後に第2ゲート右横から後方に進む作戦
2G左前=第1ゲート通過後に第2ゲート左前に進んだケース
2巡目2G右前=2巡目の第1ゲート通過後に、第2ゲート右前に進んだケース

 

▽先攻チーム、後攻チームともに使う作戦
2Gロング通過=第1ゲート通過に続き、長い距離の第2ゲート通過をねらう作戦
2Gロング通過失=第1ゲート通過後、第2ゲート通過に失敗したケース
強攻策=第1ゲート通過後に第2ゲート周辺の相手ボールへのタッチをねらう作戦
強攻策失=第1ゲート通過後、第2ゲート周辺の相手ボールへのタッチに失敗したケース

 

●主に後攻チームの作戦
第2ラインぎわ=第1ゲート通過後に第2ゲートと第2コーナーとの中間地点に進む作戦
3G周辺=第1ゲート通過後に第3ゲート周辺に進む作戦
1G後方(第2コーナー)=第1ゲート通過後に、第1ゲート後方、第2コーナー近くに進んだケース
GP周辺=第1ゲート通過後にゴールポール周辺に進む作戦
第1コーナー=1G通過後に第1コーナー(スタートエリア右横のコーナー)に進む作戦
2巡目1G後方(第2コーナー)=2巡目の第1ゲート通過後に、第2コーナーに進んだケース

 

先攻チームが50勝51敗とわずかに負け越す。後攻チームは攻めて勝ち越す

表1のとおり、先攻チームが50勝51敗とわずかに負け越した。
赤字部分が主な先攻チームの作戦だが、2G2球作戦から2G左前作戦の70ゲームを35勝35敗としたが、2G右前作戦の28ゲームを11勝17敗と勝ち星を伸ばせなかったことが痛い。コート面に傾斜があるため、2G右前に進めたボールを相手がロングタッチをねらって打つと、同じようなコースをたどってタッチに成功するという不運さが見られた。
長打を必要とする2Gロング通過失(2Gロング通過に失敗したケース)は4ゲームで2勝2敗。強攻策は失敗を含めて4ゲームを3勝1敗とまずまずの成績。
しかし、第2ラインぎわ作戦から2巡目1G後方作戦(青字部分)までの23ゲームで10勝13敗と勝ち越すことができず、わずかに負け越してしまった。

 

表2のとおり、後攻チームは第2ラインぎわ作戦から第1コーナー作戦(青字の部分)までの35ゲームを13勝22敗と負け越したが、2Gロング通過作戦から強攻策失の作戦(黒字部分)までの29ゲームを17勝12敗とし、とくに強攻策の8ゲームを7勝1敗としたことが大きかった。
また、先手をもらった2G2球作戦から2G横(後ろ)作戦(赤字部分)までの37ゲームを21勝16敗とし、勝ち越すことができた。

 

ちなみに、優勝した小豆島豊栄(香川)は先攻が1ゲーム、後攻が8ゲームで9戦全勝だった。圧倒的に後攻に回ることが多く、かつ勝ち数を上げていた。準優勝のE・フォース(三重)も先攻が1ゲーム(1勝)、後攻が8ゲーム(5勝3敗)と、後攻を選択する試合が多かった。

 

作戦分析・文/高橋隆輔(スポーツライター)
撮影/伊藤 守

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