2024.09.16
国体
【SAGA2024国スポ[公開競技] 競技会】競技会レポート
男子は14チーム、女子は15チームが出場。ともに予選は4チームリーグ戦で行われ、各コートの1位、2位チームが決勝トーナメント戦に進出する方式がとられた。
なお、欠場チーム(男子2、女子1)は不戦敗扱いとなった。
男子は、鹿児島県が決勝戦で奇跡の大逆転劇を演じ、初の第1位に輝く!
決勝戦、残り2分強から通過タッチに成功し、猛スピードで得点を獲得する鹿児島県
リーグ戦全勝、決勝トーナメント1回戦で本命の岐阜県に惜敗してベスト8の和歌山県
男子でリーグ戦を3戦全勝で勝ち抜いたのは和歌山県、鹿児島県、石川県の3チーム。
和歌山県は3回目の出場で強豪・美浜煙樹と、つゆちゃんずの若手が合同した気鋭のチーム。
鹿児島県は強豪・霧島クラブが主体のチーム。3回目の出場で2015年の和歌山国体と、前回の鹿児島国体では決勝戦まで進むも2回とも岐阜県に敗退して第2位という結果に終わっている。
石川県は1週間前に行われた第41回全日本世代交流大会で優勝した志水魁が主体のチーム。
リーグ戦で激戦となったのは第5コート。2勝1敗の3すくみとなり、1位の滋賀県と2位の東京都が決勝トーナメント戦に進出し、惜しくも岩手県が得失点差でリーグ戦敗退となった。
1位通過の滋賀県は2回目の出場で甲賀市のシニア選手と栗東市のミドル選手が合同したチーム。前回の鹿児島国体に出場した3選手が所属していた。
決勝トーナメント戦、和歌山県は1回線で岐阜県に9―12で破れた。
鹿児島県は1回戦で千葉県を13―9と下し、準決勝で石川県を11―6と下し、決勝戦に臨んだ。
滋賀県は1回戦で埼玉県を12―10で破り、準決勝で、いままでに第1位に5回も輝いている本命の岐阜県に19―8と大勝し、大波乱を演じて決勝戦に進出した。
第3位決定戦は岐阜県と石川県の対戦となった。準決勝で破れたあと、試合後にコートに残って反省していた岐阜県だったが、そのショックは尾を引き、9―19と大敗した。第3位となった石川県は、鍋島 惇主将(32)の好采配が光っていた。
決勝戦、先攻は滋賀県、後攻は鹿児島県と決定。
1巡目、赤1番は第2ゲート左後ろに進み、白2番は第2ゲート右前に進む。赤3番、白4番が第1ゲート通過を見送り、赤5番、白6番が第1ゲート通過に失敗する。赤7番は第1ゲート通過に続いて長距離の第2ゲート通過に成功し、第3ゲート右前に進む。白8番は第1ゲート通過を見送り、赤9番は第1ゲート通過に失敗する。白10番は第1ゲートを通過し、長距離の第2ゲート通過に失敗して第2ゲート右後方に止まる。得点は3―2となり、やや滋賀県に有利な展開となる。
2巡目、鹿児島県が2点、滋賀県が1点をあげて得点は4―4となる。
3巡目、滋賀県が3点をあげて先行逃げ切り策を図る。得点は7―4となる。
4巡目、15分前、白8番が第1ゲートを通過し、白6番にスライドタッチをして、赤ボールがいる第3ゲートに進もうとしたが、失敗して第3ライン中間、第3ライン外にアウトボールになる。赤9番が第3ゲートを通過して得点は8―5となる。
5巡目、10分前、赤3番は第1ゲートを通過したが、赤5番へのタッチを外す。赤7番が赤9番にタッチして第2ゲート右前の白10番、白6番に付け球として送る。得点は9―5となり、鹿児島県は2球がアウトボールされる確率が高く、滋賀県有利な展開に変わらない。
6巡目、赤3番は赤1番にタッチして第2ゲート前方に送り、赤9番へのロングタッチを決めてゴールボール近くに送る。続いて白4番へのロングタッチをねらうが、外して第2ゲート後方に止まる。白4番は白2番にタッチして白2番を第3ラインぎわの白8番の前に送り、スライドタッチの形を作った。続いて白10番にタッチして2G通過を試みるが、失敗して第2ゲート真下に止まる。次いで赤7番、赤1番にタッチし、アウトボールにして2G右前に進む。アウトボールの赤5番が打ち入れに失敗したあと、アウトボールの白6番が第2ゲート裏に打ち入れ。アウトボールの赤7番はゴールポール近くに打ち入れて赤9番につないだ。
ここで白8番は白2番にスライドタッチしてゴールポール近くに進んだ。白2番を第2ゲート右前に送ってから、赤7番、赤9番にタッチし、アウトボールにしてピンチを救った。
残り時間は2分強。白10番は第2ゲート利用の通過タッチに成功し、白6番を第2ゲート右前に送り、白8番にタッチして第2ゲートを通過させ、白4番にタッチして第2ゲート右前に送り、2打権で第3ゲートを通過し、ゴールポール近くに進む。得点は9―8。
7巡目、アウトボールの赤1番が打ち入れたあと、白2番は白6番にタッチしたところで、競技時間終了。白6番を第2ゲート通過させ、自球も第2ゲートを通過し、白8番にタッチして第2ライン外にアウトボールにしてから白4番にタッチして第2ゲートを通過させ、白10番へのロングタッチを決めて上げる。得点は9―13。
鹿児島県は初の第1位となったが、まさに奇跡の大逆転のゲームだった。
女子は、神奈川県がパワフルなプレイでついに初の頂点へ
週3回みっちり練習してきた神奈川県はその成果をいかんなく発揮して第1位に!
10代の選手中心で初挑戦した鹿児島県は決勝トーナメント1回戦で埼玉県に惜敗してベスト8
女子のリーグ戦を3戦全勝で勝ち抜いたのは神奈川県、鹿児島県、香川県、岩手県の4チーム。
神奈川県は4回目の出場で、2019年の茨城国体と2022年の栃木国体で各第2位になったパワフルな熟年チーム。
鹿児島県は初出場。2023年の全国ジュニア大会女子1部クラス優勝したNICE-KJの若手とベテランが合同したチーム。
香川県は2回目の出場で2008年の全国選抜大会優勝の長尾銀河が主体になるチーム。全国選抜大会ではその後も2022年ベスト8など活躍している息の長いベテランチーム。
岩手県は8回目の出場で、2016年の岩手国体、2018年の福井国体各第1位の安定した実力派のチーム。
決勝トーナメント戦、神奈川県は1回線で岐阜県を15―10、準決勝で埼玉県を16―8とそれぞれ下し、決勝戦に臨んだ。
鹿児島県は1回戦で埼玉県(前回の鹿児島国体第1位)に9―10と惜敗した。
香川県は1回戦で東京都(2016年の岩手国体第3位)に9―12と破れた。
岩手県は1回戦で鳥取県に10―21と大敗した。
伏兵の鳥取県は、2022年の第39回全日本世代交流大会で準優勝した伯耆ストームズの岩崎弘巳選手が監督を務め、素晴らしいチームワークで勢いに乗った。準決勝では東京都に11―11で内容勝ちを納め、決勝戦に進出した。
第3位決定戦は埼玉県と東京都の対戦。先行逃げ切り策を図る埼玉県に中盤戦に東京都がロングタッチを決めて追いすがったが、試合巧者の埼玉県が16―12で逃げ切った。
決勝戦、チーム平均年齢は先攻の鳥取県が83.4歳、後攻の神奈川県が72.6歳と、超熟年チームの対戦となった。
1巡目、両チームの1番打者が第1ゲート通過に失敗するスタートとなり、鳥取県は赤3番、赤7番が第2ゲート周辺を抑え、神奈川県は白4番、白10番が第2ラインぎわに進むという展開で得点は2―2だが、鳥取県が優位な展開になる。
2巡目、鳥取県は先行逃げ切りの戦術を取り、赤1番、赤5番が第1ゲート通過、赤1番と赤3番が第2ゲートを通過して、得点を6―2と広げた。
3巡目、神奈川県も負けずに白2番、白6番が第1ゲートを通過、白8番が第1ゲートを通過し、第2ゲート右前の白10番へのロングタッチを決めて第3ゲート右前の赤1番に付け球として送って、第2ゲートを通過した。鳥取県は赤9番が第1ゲートを通過し、得点は7―6としたが、神奈川県有利な展開になった。
4巡目、神奈川県は2点をあげて、得点は7―8とするが、鳥取県はアウトボールの打ち入れが続き、得点が伸びない。
5巡目、鳥取県は赤1番が第3ゲートを通過するが、後続の赤ボールがタッチミスや、アウトボールの打ち入れで得点のチャンスがない。神奈川県は白4番が第2ゲート利用のタッチ通過で1点をあげ、自チ―ムのボールを第3ゲート右前に集結させた。得点は8―9となる。
6巡目、神奈川県の猛攻が始まり、白6番が白2番、白8番、白10番を第3ゲート通過させ、自球も第3ゲートを通過し、上がりを決めて8―15で勝利を飾り、念願の初の第1位を獲得した。
取材・文/高橋隆輔(スポーツライター)
撮影/伊藤守