2024.10.14
選手権
【第40回全日本ゲートボール選手権大会】作戦分析〜どのような作戦で戦ったか!?
10月5日(土)・6日(日)に開催された文部科学大臣杯 第40回全日本ゲートボール選手権大会では、序盤戦の作戦は、どのような作戦が選択され、どの作戦が好成績をあげたのか?
序盤戦の作戦別勝敗数データを採取し、先攻と後攻に分けて分析してみた。
屋外人工芝コートの状況は?
会場の人工芝コートは張り換えられてからそれほど日数が経っていないせいか葉先は寝ていたが、水はけのためにコート中央部から左右に向かって傾斜があり、所々にくぼみがあるが、長距離のボールコントロールはよく、すばらしいコート条件だった。
データは1次リーグ戦から2次リーグ戦、トーナメント戦までの101試合を採取した。
作戦名の説明
※各作戦については、下のコート図のアルファベッド文字を参照。
●主に先攻チームの作戦(表1〜2の赤字部分の作戦)
2G右前=第1ゲート通過後に第2ゲート右前に進む作戦(A)
2G正面=第1ゲート通過後に第2ゲート正面に進む作戦(B)
2G横(後ろ)=第1ゲート通過後に第2ゲート右横から後方に進む作戦(C)
2G左前=第1ゲート通過後に第2ゲート左前に進む作戦(D)
2G2球=第1ゲート通過後に、1球が第2ゲート右前に、もう1球が第2ゲート横から後方に進む作戦(AとC)
○主に後攻チームの作戦(表1〜2の青字部分の作戦)
第2ラインぎわ=第1ゲート通過後に第2ゲートと第2コーナーとの中間地点に進む作戦(E)
3G周辺=第1ゲート通過後に第3ゲート周辺に進む作戦(F)
第1コーナー=第1ゲート通過後に第1コーナー(スタートエリア右横のコーナー)に進む作戦(G)
1G後方=第1ゲート通過後に、第1ゲート後方、第2コーナー近くに進んだケース(H)
GP周辺=第1ゲート通過後に、第1ゲート後方、ゴールポール近くに進んだケース(I)
▽先攻チーム、後攻チームともに使う作戦(表1〜2の黒字部分の作戦)
ロング2G通過=第1ゲート通過に続き、長い距離の第2ゲート通過をねらう作戦(J)
強攻策=第1ゲート通過後に第2ゲート周辺の相手ボールへのタッチをねらう作戦(K)
※作戦名の前に「2巡目」がある場合は、2巡目にその作戦を使ったケース
※作戦名の後ろに「失」がある場合は、その作戦に失敗したケース
先攻チームがコートの特性を活かして54勝47敗で勝ち越す
優勝の霧島クラブは先攻時に抜群の強さを見せた!
霧島クラブは先攻で6勝全勝、後攻で3勝全勝で完全優勝した
準優勝の阿蘇クラブは、後攻が多く、6勝1敗と強さを見せた
表1のとおり、先攻チームが54勝47敗で勝ち越した。
先攻チームは定番の作戦(赤字部分)が101ゲーム中80ゲームあり、47勝33敗と勝ち越した。しかし、残りの21ゲーム(黒字部分と青字部分)を7勝14敗として、大きなリードを奪えなかった。
定番の作戦が80ゲームも選択されたのは、多くのチームがコートの特性を把握して、第2ゲート周辺にボールを進めたためであり、ロング2G通過作戦や、強攻策(黒字部分)、あるいは先手を譲る第2ラインぎわ作戦など(青字部分)はほとんど選択されなかった。
ちなみに優勝した霧島クラブ(鹿児島)は先攻で6戦全勝(パーフェクトゲーム2を含む)と抜群の強さを見せたが、準優勝の阿蘇クラブ(熊本)は0勝1敗と先攻は苦手のようだった。
表2のとおり、後攻チームは定番の作戦(青字部分)の40ゲームを12勝28敗と大きく負け越した。
そして、長い距離の打撃を必要とする作戦(黒字部分)の35ゲームを16勝19敗とし、先手をもらった作戦(赤字部分)の26ゲームを19勝7敗と大きく勝ち越した。
後攻チームは序盤戦で第2ゲート周辺に進めないために、ロング2G通過作戦や、強攻策(黒字部分)、先手をもらった作戦(赤字部分)で対応していたが、定番の作戦のマイナスまではカバーすることができなかった。
ちなみに優勝の霧島クラブ(鹿児島)は後攻で3勝全勝、準優勝の阿蘇クラブは6勝1敗と強さを見せた。
なお、今大会では、20得点以上あげたゲームが30も見られた。うち、先攻チームが勝利したのは16ゲーム(パーフェクトゲーム5を含む)で、後攻チームが勝ったのは14ゲーム(パーフェクトゲーム5を含む)と、五分五分の結果を出している。
作戦分析・文/高橋隆輔(スポーツライター)
撮影/伊藤 守