2025.01.16
公式国際
【第8回アジアゲートボール選手権大会】大会レポート
中国が入賞独占、日本代表の最高位は大垣心友会のベスト16
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「第8回アジアゲートボール選手権大会(主催:アジアゲートボール連合)」が2024年12月13日(金)〜15日(日)に中国 浙江省杭州市の杭州蕭山スポーツセンタースタジアム(天然芝コート)で開催されました。
本大会は、アジア地域のチームを対象として4年ごとに開催されている公式国際大会ですが、2016年に韓国で開催された第7回大会からコロナ禍を経て8年ぶりの開催となりました。
参加チームは、オーストラリア4、中華人民共和国26、ホンコン・チャイナ11、インドネシア1、日本6、大韓民国6、マカオ・チャイナ2、チャイニーズ・タイペイの8カ国・地域からの64チーム。
前回に続いて中国チームが2連覇するのか、他のチームが一矢を報いるのかに注目が集まりました。
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中国で本大会が行われるのは 2000年の第3回大会に続いて2回目。会場は、2022年アジア競技大会でも使用された杭州蕭山スポーツセンタースタジアム
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コートによりボールが転がるスピードや曲がり具合が異なっていた天然芝
大会初日は公開練習やチーム代表者会議などが行われ、2日目、競技に先立ち、開会式が盛大に開催されました。
龍舞や獅子舞など中国ならではのアトラクションが披露されたあと、各国・地域の選手団が入場。最後に入場した中国選手団には、観客席から「加油(ジョヨウ=がんばれの意)」の大声援が送られる場面も!
式典では、アジアゲートボール連合 今川啓一理事長や、主管の中国門球協会 于建勇主席のあいさつのあとに審判員と選手の代表者による各宣誓が行われ、最後に色鮮やかな布や煙が飛び出す華やかな演出で開幕を告げました。
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勇壮な獅子舞のアトラクション
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最後に入場し、ひときわ大きな声援が贈られた中国選手団
競技は、全8コートで、各コート4チームによるリーグ戦をAとBパートに分かれて行い、各パート1位の計16チームがトーナメント戦に進む方式で、開会式後にはリーグ戦の第1〜8試合までが行われました。
日本代表は、第1試合にもりおか木曜クラブ(岩手)が登場するもチャイニーズ・タイペイチームに圧倒されて敗退。
第2試合では十和田西(青森)がホンコン・チャイナチームと対戦し、十和田西の優勢で試合は進むも終盤に相手のロングタッチが決まり内容負け。
第3試合でも健祥会(徳島)が中国チームのロングタッチの急襲に遭って敗退。
第4試合、広島楓は、2018年 世界大会準優勝の中国上海市高東鎮門球隊と対戦し、好試合を展開するも、やはり最後にロングタッチを決められて惜敗。試合後、飯田主将は「いけるかもと思ったけれど、相手のロングタッチがスゴかった。相手にねらわれるのを承知でボールを置くしかないですね」と考え込んでいました。
ホンコン・チャイナチームに勝利した作新学院(栃木)は第5試合でこのところ成長著しいインドネシアの高い技術力に阻まれてまさかのパーフェクト負け。
日本代表の敗戦が続く中、気を吐いたのが、前回第3位の大垣心友会(岐阜)。第4試合で中国チームに大勝すると、第6試合でも中国チーム相手に好試合を展開し、最後に相手のミスのスキを突いて得点を重ねて接戦をものにしました。島田主将は「余裕はなかったけど、なんとか勝てました。作戦的には日本チームにも勝てる余地はあると思います」と力強い言葉を残しました。
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中国チームに惜敗するもリーグ戦2勝1敗と健闘した健祥会(徳島)
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準優勝した中国上海市高東鎮門球隊とリーグ戦で好試合を展開した広島楓
大会最終日は、最初にリーグ戦の第9〜12試合が行われました。
ここまで1勝1敗の健祥会は、ホンコン・チャイナチームと対戦し、終盤の猛攻により大勝するも、惜しくもリーグ戦突破はならず。
同じく1勝1敗の作新学院と広島楓は、ともに最終試合を迎えた時点でリーグ戦敗退が決まっていましたが、作新学院は中国チームとのシーソーゲームを制して勝利、広島楓もホンコン・チャイナチームに1点差で勝ち、有終の美を飾りました。片柳主将(作新学院)は「最後は消化試合となりましたが、勝って終われて本当に良かったです」と笑顔で語りました。
2勝0敗の大垣心友会は、最終試合のチャイニーズ・タイペイチーム戦にも勝ち、3勝0敗でリーグ戦突破を決めました。
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作新学院(栃木)はリーグ戦最終試合で中国チームを倒して2勝1敗の成績
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高い打撃力を披露してベスト8に輝いたインドネシア
トーナメント戦に進出したのは、大垣心友会のほか、中華人民共和国が最多の11チーム、続いてホンコン・チャイナ2チーム、大韓民国1チーム、インドネシア1チームとなりました。
トーナメント1回戦、日本期待の大垣心友会は、中国のジュニアチーム・中国江蘇海門青少年隊と対戦。中盤までは互角の内容でしたが、見事なロングタッチと合わせ球により相手有利の展開に。終了10分前、大垣心友会は第1ゲート通過後にロングタッチと合わせ球を決めて最後まで粘るもついに敗退。試合後、島田主将は「相手の技術力のほうが上回っていました。残念です」と肩を落としながらも、応援に駆け付けた日本チームに頭を下げていました。
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日本チームとして唯一トーナメント戦に進出した大垣心友会(岐阜)
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大垣心友会を破って波に乗り第3位入賞を果たした中国のジュニアチーム・中国江蘇海門青少年隊
トーナメント2回戦では、ここまで健闘してきたインドネシアと香港2隊が中国チームに敗れ、ついにベスト4は中国だけとなりました。
準決勝、大垣心友会を破って一気に注目を集めた中国江蘇海門青少年隊は、リーグ戦で広島楓を破った強豪・中国上海市高東鎮門球隊と対戦。中国江蘇海門青少年隊が有利に試合を進めましたが、残り約12分、第1ゲート通過後の相手選手にスライドタッチから第2ゲート利用のタッチ通過を決められ形勢逆転となり惜敗しました。
もう一方の準決勝は、中国全国大会6回優勝の中国江蘇多威隊が、シニア中心の中国四川宣漢県老年大学隊を押し切って勝利。
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決勝戦で競技時間終了から大逆転劇を演じて初優勝した中国江蘇多威隊
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2018年の世界大会に続いて準優勝に輝いた中国上海市高東鎮門球隊
決勝戦、先攻の中国上海市高東鎮門球隊が圧倒的な優勢でしたが、終盤、相手ボールへのタッチミスが続き、そのスキに後攻の中国江蘇多威隊は第2ゲート前に味方ボールを集結しつつ、合わせ球で相手球をアウトボールにします。競技時間終了時点で11-8のスコアでしたが、中国江蘇多威隊の最終打者は、第2ゲート通過からスライドタッチで上がりに近づき、最後にスパーク打撃で上がりを決めて11-12の奇跡ともいえる大逆転劇を演じて初優勝を手にしました。
優勝が決まると同時に駆け寄り、抱き合い、喜びを爆発させたメンバーたち。
「最後は大逆転に興奮しました。良い試合ができてうれしいです」と涙を見せていました。
中国チームの高い技術力を見せつけられた今大会、今後、日本チームが巻き返しを図るには何が必要なのか、大きな課題が課せられた今大会でした。
撮影/伊藤 守