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ニュース

2025.01.30

公式国際

【第8回アジアゲートボール選手権大会】中国チームの勝因を打撃表から分析!

2024年12月13日(金)〜15日(日)に中国 浙江省杭州市の杭州蕭山スポーツセンタースタジアムの天然芝コートで開催した第8回アジアゲートボール選手権大会より、トーナメント戦に唯一進出した日本代表チームが中国のジュニアチームに敗戦したトーナメント1回戦「中国江蘇海門青少年隊 VS 大垣心友会」について、打撃表(打撃内容)から中国チームの勝因を分析してみよう。

ゲーム内容
先攻 中国江蘇海門青少年隊 12-7 後攻 大垣心友会
中国は相手の出方を警戒しつつチャンスに打撃力の高い赤5番選手を送り込んだ!

●1巡目
中国江蘇海門青少年隊(以下、中国)の赤1番は第1ゲートを通過し、第2ゲート右後ろ、第2ライン寄りに進み損なってアウトボールになる。大垣心友会の白2番は第1ゲートを通過し、第2ゲート右前、第2ラインから少し離れた地点に進む。赤3番、白4番、赤5番は第1ゲート通過を見送る。白6番は第1ゲートを通過し、第2ゲート左後ろに進む。赤7番は第1ゲートを通過し、一気に第2ゲートを通過する。続いて白6番にタッチし、アウトボールにして第3ゲート左前に進む。白8番は予定を変更し、第1ゲート通過を試みるが、ゲート左脚に当てて通過に失敗。赤9番が第1ゲート通過を見送ったあと、白10番は第1ゲートを通過し、第2ゲート右後ろ、第2ラインから少し離れた地点に進む。
得点は赤3―3白
中国は、赤1番が第1ゲートを通過するも第2ゲートを抑えられずにアウトボールになると、赤3番、赤5番に第1ゲート通過を見送らせ、赤5番の次に打撃が上手な赤7番に第1ゲートを通過させ、一気の第2ゲート通過から第3ゲート左前に進ませた。これでアウトボールの赤1番が第3ゲート後方に打ち入れるか、スタートの赤5番に第1ゲートを通過させて第3ゲート後方に進ませるかの二案で、早めの2巡目、または3巡目での赤7番の通過タッチが見込まれるとの目算が成立し、展開を有利に持ち込もうとした。

 

●2巡目
アウトボールの赤1番は第3ゲート左後ろに打ち入れる。白2番は白10番にタッチし、第2ゲート右前、第2ライン寄りにスパーク打撃で送り、自球は白10番の前に進む。赤3番、白4番は第1ゲート通過を見送る。赤5番は第1ゲートを浅く通過し、第3ゲート左後ろ、ゲート寄りに進む。アウトボールの白6番は第4コーナー寄りの第3ライン中間、第3ラインから少し離れた地点に打ち入れる。赤7番は第3ゲートを通過し、赤5番にスライドタッチして第3ゲート右前に進む。赤5番を第3ゲート右前、第4ラインぎわに送る。続いて赤1番にタッチし、赤1番を第3ゲート右横、第4ラインぎわに送る。次いで、自球は第3ゲート右後方、第4ラインから少し離れた地点に進む。白8番、赤9番が第1ゲート通過を見送ったあと、白10番は白2番にスライドタッチし、第2ゲート右前に進む。白2番を第2ゲート正面に送ってから、第2ゲートを通過し、第2ゲート左後ろに進み、通過タッチをセットする。
得点は赤5―4白
中国は、大垣心友会の白2番と白10番が3巡目での第2ゲート利用の通過タッチを見込んでいることを察して、赤7番の通過タッチの目算を変更して、赤7番には第3ゲートを通過させ、赤5番、赤1番を拾わせて、第3ゲート周辺の第4ラインぎわに避難させた。

 

●3巡目
赤1番は赤5番にタッチし、赤5番を第2コーナー近く、第1ラインから少し離れた地点に送り、自球は第3ゲート右前、第4ラインぎわに進む。白2番は第2ゲート利用の通過タッチに成功。白10番を第4コーナー近く、第3ライン中間のライン寄りに送る。1打目で第2コーナー近く、第1ラインから少し離れた地点に進む。2打目で赤5番へのタッチを外し、第2コーナー近く、第1ラインぎわに止まる。
赤3番は第1ゲートを通過し、赤5番にタッチし、赤5番を第2ゲート右斜め前、第2ラインから少し離れた地点に送る。続いて白2番にタッチし、白2番を第2コーナー近く、第1ライン外にアウトボールにする。続いて、自球は第2コーナー近く、第1ラインぎわに進む。
白4番は第1ゲートを通過し、第2ゲート右後ろ、第2ライン寄りに進み損なって第2ライン外にアウトボールになる。赤5番は第2ゲートを通過し、白10番へのロングタッチに成功。白10番をアウトボールにし、続いて白6番にタッチし、アウトボールにする。自球は第3ライン中間、ラインから少し離れた地点に進む。
アウトボールの白6番は第2ゲート左後ろに打ち入れる。赤7番は第3ゲート右後ろ、第4ライン寄りに移動する。白8番は第1ゲート通過を見送る。赤9番は第1ゲートを通過し、第3ゲート左後ろに進む。アウトボールの白10番は第3ライン中間のラインぎわに打ち入れる。
得点は赤8―6白
中国は、赤1番が赤5番にタッチして、赤5番を第2ゲート通過が望める第2コーナー近くの第1ライン寄りに送り、自球は第3ゲート右前、第4ラインぎわに進んだ。しかし、大垣心友会の白2番が通過タッチの2打権で赤5番をアウトボールにし損なったのを見て、ここが大垣心友会をたたけるチャンスと見て、スタートに残した赤3番、赤9番に第1ゲート通過を指示し、一気に陣形を整えた。

赤1番の体育教諭がチームを指揮していた中国江蘇海門青少年隊

4巡目、満を持して第1ゲートを通過し、相手球にロングタッチを決めてチャンスをつくった大垣心友会の島田主将

●4巡目
赤1番は赤7番にタッチし、赤7番を第3ゲート右後ろに送る。続いて、赤9番にタッチし、赤9番を第3ゲート右正面に送る(終了15分前)。次いで赤5番にタッチし、赤5番を第3ゲート右正面の赤9番の後ろに送る。自球は第3ゲート右前に進み損なって赤5番にタッチし、2度タッチの反則になり、第4ライン外にアウトボールになる。
アウトボールの白2番は第2コーナー近く、第2ライン寄りに打ち入れる。赤3番は白6番へのロングタッチを外して白6番の横に止まる。アウトボールの白4番は第3コーナー近く、第2ライン寄りに打ち入れる。赤5番は第3ゲート利用のタッチ通過に成功。赤9番を第1ゲート左後方、第2ラインから少し離れた地点に送り、赤7番にタッチし、赤7番を第2コーナー近く、白2番に付け球として送る。次いで第2ゲート左後ろの白6番へのロングタッチを決める。白6番を白10番に合わせ球をするが、白6番のみを第3ライン中間のライン外にアウトボールにする。赤3番にタッチし、赤3番を第2コーナー近くの赤7番の近くに送り、つなぎ球にする。1打目で第3ライン中間、第3ライン寄りに進み、2打目で白10番にタッチする。白10番を白4番に合わせ球をして2球ともに第2ゲート右後方、第2ライン外にアウトボールにして、自球は第4コーナー近く、第3ライン中間のラインから少し離れた地点に進む。
アウトボールの白6番は第2ゲート左後方に打ち入れる。赤7番は赤3番にタッチし、赤3番を第2ゲート右前、第2ライン寄りに送る。続いて、白2番にタッチし、白2番をアウトボールにする(終了10分前)。次いで、赤9番にスライドタッチし、ゴールポール近くに進む。赤9番を第3ゲート右正面に送り、自球は第3ゲート左後方に進む。
ここで満を持した白8番は第1ゲートを浅く通過し、赤7番へのロングタッチを決める。赤7番を赤3番に合わせ球をして2球ともに第2ゲート右前、第2ライン外にアウトボールにする。続いて、自球は第2ゲート左前方に進む。
赤9番は第4コーナー近く、第3ライン中間の赤5番の左斜め前に移動する。アウトボールの白10番は第2ゲート右後方、第2ライン寄りに打ち入れる。
得点は赤9―7白
大垣心友会は4球がアウトボールの打ち入れで、第1ゲートを通過した白8番も危険な地点に進んでいて、主導権を中国に握られた展開になっている。

 

●5巡目
アウトボールの打ち入れが4球続く。赤1番は第3ライン中間のラインから少し離れた地点、赤9番の左斜め前に打ち入れる。白2番は第2ゲート右後ろ、第2ライン寄りに打ち入れる。赤3番は第3ライン中間のラインから少し離れた地点、赤1番の左側方に打ち入れる。白4番は第3コーナー近く、第2ライン寄りに打ち入れる。
ここで赤5番のスーパープレーが飛び出す。赤5番は約2.5mの赤9番にスライドタッチをすると、約11m進んで白8番の側方に止まる。赤9番を第1ゲート後方、第2コーナー寄りに送ったあと、白8番にタッチし、白8番を第2ゲート左横の白6番に合わせ球をするが、白8番のみを第3ライン中間のライン外にアウトボールにする。続いて約8mの赤1番へのロングタッチに成功。赤1番を第1ゲート後方、赤9番の先、第2コーナー近くに送ってから、赤3番にタッチし、赤3番を第1ゲート後方、赤9番の後ろに送る。次いで白6番にタッチし、白10番に合わせ球をして2球ともに第2ゲート右後方、第2ライン外にアウトボールにし、自球は第2ゲート正面に進む。
この赤5番のスーパープレーにより、大垣心友会は徹底的に追い込まれ、赤9番が赤1番、赤3番、自球も第2ゲート前方に進めて、得点は赤9―7白だが、大垣心友会にばん回のチャンスはなくなった。

 

●6巡目
赤1番は赤9番の第2ゲート通過を果たし、自球も第2ゲートを通過する。アウトボールの白2番は第2ゲート右後方、第2ラインぎわに打ち入れる。赤3番は第2ゲートを通過し、白4番にタッチしたところで、競技時間終了。白4番を第3コーナー近く、第3ライン外にアウトボールにして、長距離の第3ゲート通過をねらうが、外して第4ライン外にアウトボールになる。白4番がアウトボールのため、ゲームセット。
得点は赤12―7白と、中国は最後に大垣心友会を突き放し、初優勝を飾った。

打撃表から分析する中国チームの勝因
前半戦の柔軟な対応と赤5番の超人的なプレーの連続技で大垣心友会を抑え込む

中国江蘇海門青少年隊は赤3番、赤5番、赤9番をスタートに残し、赤1番、赤7番で戦おうとする戦術を選択した。大垣心友会は白4番、白8番をスタートに残して中国江蘇海門青少年隊の中でもっとも打撃力の高い赤5番をマークして対応した。
打撃表を見ると、中国江蘇海門青少年隊が圧倒的に大垣心友会を抑え込んだ。全打数、タッチ合計数、スライドタッチ、ロングタッチ、スパーク打撃などの項目で、数値が完璧に上回っている。多くは赤5番の超人的なプレーの連続技によるものであるが、おそらく中国江蘇海門青少年隊は事前に大垣心友会のチーム力の高さを知っていて、かなり警戒して1巡目から3巡目まで試合に臨んでいた。

打撃分析&文/高橋隆輔(スポーツライター)
撮影/伊藤 守

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