2010.02.11
JGU
エッセイ部門 入賞 楽しかったゲートボール
砂川美智子 さん(富山県・86歳)
人生も八十路にさしかかり、少し心に余裕が出来た今、これ迄の道のりをたどった時、子育て、農業、孫育て、ひ孫も育ってくれました。長くて短いこれ迄の道のりでしたが、自分の時間が見つかりませんでした。
そこで知り合ったのがゲートボールで、何気ない会話の中で出て来たゲートボールの話に自然と足を運ぶ様になりました。何より無知な自分に対して皆さんの指導がとても解りやすく、優しく接して下さったからです。世間知らずの人見知りの自分でも自信を持って参加出来る様になりました。
初めての競技に参加した時の思い出は今も覚えています。手元は震え、足もがたがた小刻みに震えました。ゲートはものすごく遠くに感じました。でも教わった通りに体の向きと足の位置をそろえ、ゆっくり動かした両腕。音も聞こえず、ただ動かしただけなのに、ボールはゲートをくぐって素直に行きました。皆さんの拍手に励まされた事がうれしく思いました。
それから後は日増しにゲートボールにのめり込んで行きました。何しろ先輩方が下手な自分をうまくあやつり、役立たせて下さるからです。失敗しても落ち込んだ時も「大丈夫、次の人が助けてくれるからね」「大丈夫やよ」と云われ、安心した事も幾度か有りました。この競技は一手も二手も先を読んで進む競技で、技だけでは挑めない事も知りました。作戦法も幾通りも考えておられ、絆が結び、助け合って進む事も学びました。お陰様でいろんな場所へ参加させて頂きました。大勢の方達と顔見知りになり、友達も多くなりました。
又、身体共に頑張った思い出も有ります。福井県へ試合に行った時は最悪の寒い風とあられの日でした。その時は、身体共に耐える事を覚えました。寒さに体全体がこわばり思う様に動けない状態になりましたが、ここで倒れたらめいわくになると思い、一心に手足をさすり一時をしのぎました。あの寒さに耐えて頑張れたのは不思議な気がします。その時は何事も気力で耐えられる事も自覚しました。
私自身いろいろなことに挑戦してみましたが、このゲートボールはいつまでも心に残る楽しい生きがいの趣味です。
老いた今も楽しかった一時を思い浮かべ、心なごやかな人生を喜んでいます。
技より心の絆、助け合う競技が今の自分を支えてくれた事を感謝しております。
これからもいろいろ思い出して友達と語り合っていきたいと思います。