公益社団法人 日本ゲートボール協会

  • facebook
  • twitter
  • youtube
  • instagram
  • LINE

公益社団法人 日本ゲートボール協会

ニュース

2010.02.11

JGU

エッセイ部門 入賞 百歳までできるかな

吉村弘子 さん(奈良県・89歳)

 いつもの練習場に近づくと、コーンコーンと心地よい音が聞こえてきました。その日は市ゲートボール連盟の秋季大会の日でした。優勝を目指して頑張りましたが夢に終わりました。ひとつの打球ミスが大逆転のきっかけになってしまったのです。優勝賞品を持つ人を横目に、帰り支度はみじめでした。県内、県外の試合に参加しても、敗れて帰る時はみんな無口です。
 そもそもゲートボールに心身ともにどっぷりと浸るきっかけになったのは六十三歳で、地域の老人会の役を引き受けさせられて、当然の如くゲートボール会に入会となった訳です。所属チームの最年少でした。何の知識もない事が不安で町の図書館へ行き、ゲートボールの本を二冊借りて読みました。それでゲートボールは日本で誕生し、北海道の鈴木さんが創始者だと知りました。種々の解説については、残念ながらすぐに全部を理解把握することは無理でしたが、実際にボールを持ってプレーする事で徐々に技術も向上し、自信を持てるようになり、練習日には楽しく参加しました。
 ところが何年か経って、隣の町と合併して新しい市が誕生しました。そこで驚きました。合併した相手の町のゲートボールはすべての面で私達の町より優れていました。相手の町の人達はかなり若い人でも審判員資格一級を持ち、技術も確実な人がいました。これでは駄目だと思い、新しく市が主催する「ゲートボール教室」に入会しました。そこで基礎的な事を学びました。打球の基本からマナーの大切さや、五人の協力の大切さを教えてもらいました。
 そうしたある日、私が勤務していた職場のOB会があり参加しました。その席である人から、ゲートボールは意地の悪いゲームで相手の球をコートの外にはじき出して喜ぶなんて老人のするべき競技ではないといわれました。私はゲートボールは個人競技ではないから相手を困らせるのは仕方のないことで、囲碁や将棋と同じで頭を使って先の先を読みボールを動かす難しく頭脳的な作戦を必要とする競技で、老人の認知症予防にもなる奥の深さがあると反論しました。でも理想と現実は大違いで、会員の中には他人のちょっとしたミスを厳しく指摘して叱る人がいます。ミスをしたくてする人はありません。それよりは好プレーに拍手や称賛を送るべきだと思います。
 思い返せばいろんな事がありましたが、嬉しかったのは初めて女子チームで徳島県での全国大会に出場し、他府県の人々と交流できたことです。また、ねんりんピックの山口県大会に参加した時の感動は今も鮮やかに心に残っています。
 最近嬉しく思った事は、市の役員さんからの働きかけが実り、小学校にゲートボールクラブが誕生するとの話です。コロナ次第で遅れる可能性もあるらしいですが、いつかきっと老人対小学生チームの対抗戦が実現する事でしょう。
 現在、私は八十九歳です。いつの間にか市内競技者の最高齢となりました。仲間から「市内最高齢者の記録を伸ばして下さい」という優しい励ましの言葉につられて、元気なうちは百歳までも続けていきたいと願っています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION
  • JAPAN SPORT COUNCIL
  • GROWING 全てのスポーツにエールを
  • 公益財団法人 スポーツ安全協会

  • 公益財団法人 日本体育協会
  • 公益財団法人 日本レクリエーション協会 Rec-Online
  • JADA 公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構 Japan Anti-Doping Agency
  • 新たに日本ワールドゲームズ協会(JWGA)
  • SPORT FOR TOMORROW