2010.02.12
JGU
エッセイ部門 入賞 ゲートボールに夢中
戸來幸雄 さん(東京都・77歳)
新型コロナウイルスの感染予防対策で緊急事態宣言が出た。自粛生活を余儀なくされゲートボールが出来ない、運動不足になる。ストレスになり悩んだ。何とかしなければならないと思った。緊急事態宣言が延長になった五月から練習を再開した。自己責任で、マスクをして、三密を回避して、屋外だから換気は充分、目立たない様にひっそりと練習を始めた。コロナで運動不足になって老け込むようではマズイと思ったからだ。
老人会のスポーツだから技術的に上達する事よりも、老化による体力の低下で下手に成って往くのが関の山と考えた。そこで以前から取り組んでいた「アンチエイジング」に効果があると思い、そのために工夫をする。三浦雄一郎の真似をして、両足首に一キロの重りを付けて日常生活をする。必要な体力にプラス二キロの体重を支えて動く、必然的にプラスアルファーの体力が付く。食事も気を付けた、抗酸化食品を食べるようにする、免疫力の向上を図る食べ物を摂取する。こうした栄養と休養と運動のバランスを取って健康に気を付ける生活を続けた。これらの努力の成果が出たのか、「タニタの体組成計」で見ると、「足腰年齢」が実年齢マイナス七才の七十才と出た。想像以上に大きな成果だ。我ながらビックリである。足腰がぶれないからゲートも通る、球にも良く当たる様になる。腰を痛めて体力低下になりゲートが通らなくなったりした人や、認知症の症状が出始めて球を間違えたりするような者に比べると歴然と差が出て来る。
高校球児の指導者の名言に「努力は夢中に勝てない」とあった。夢中になって取り組めば人より上手くなると言う事を思い出した。ゲートボールに夢中になる事にした。練習相手の高橋と二人で馬鹿と言われても夢中になって練習をした。二人だけの時もある。四・五人の時もある。コロナに負けず、日曜休みも無く、毎日午前中はグラウンドに出てゲートボールを続けた。気が付けば顔に日焼けでマスクの後がくっきりと付いていた。相棒も夢中になって呉れた事に感謝する。
練習方法の一つとして、ゲートボール情報誌「なび」二〇一八年号の記事にあった「作新学院」の「七打上がり」がある。それを真似して練習を繰り返す。最近まぐれで、六打や五打で上がる事も稀にある。「いつもどおり♪♪いつもどおり♪♪」も真似て作新にかぶれている。失敗しても責めない、上手く言った時は褒める、楽しくやる様にする。ゲートを確実に通過する為に工夫と熟練を繰り返す。球に当てる練習を繰り返す。作戦の工夫をして、ワンチームになって努力する。夢中になって練習すれば「練習は嘘を付かない」と結果が付いてくる。十二月の地区月例ゲートボール大会で悲願の初優勝をした。嬉しかった。
ゲートボールに夢中はまだまだ続きそうだ。老化防止や様々なアンチエイジングにも努力して若返り、夢中になり末永くゲートボールコートに立ち続けたい。