2010.02.12
JGU
エッセイ部門 入賞 こうしてゲートボールにはまった
無条件の全肯定 さん(新潟県・63歳)
高齢者学級に申し込む。クラブ活動のゲートボールクラブを勧められたが、「ん?」、スルーした。懇親会で隣席の方が明るくゲートボールを語る。得点は少ないが笑いが多い楽しいチーム、大会では他チームからすると多得点で一勝確実にできるなど。三十年ほど前に父がやっていた頃の話と違うなあと思いつつ見学だけを約束した。若い時いっぱい働いた方々が多数。「コート開き」をする。ラインテープやゲート、ゴールポールを計測して設置する。シーズン中の怪我や事故防止に四隅に御神酒をまく。何て段取り良くカッコいいんだ! 感動しました。
ルール説明を受けながらゲームをしてみる。「プレーボール! 一番」、ん……? 知らないけど軍隊みたい。やたらと元気よくテンション高い。ミスタッチしてもそういう時あるよ。極々狭いボール間をタッチせず転がる。相手チームからも笑いが起きる。「この隙間を通る方が奇跡です。ボールを良く見てね」。悪いけど、私長い事生きてますから、それだけは理解できます、と心で思う。言われた様に打撃していって上がってしまった。初ゲートボールで上がった人は初めてだとか随分褒められました。スティックの握り方もスタンスもヘンテコで笑えます。今思うと初心者へのサービスですね。感謝しています。でもこれが、見学者から入部者になった瞬間でした。
戦略より全員第一ゲート通過で五点取ることができたら良くやった、七点が目標。なのにゲートボールはチャンスの裏はピンチ、またその逆も何があるか分からないと、国体を目指している。実にユニークなチームなのである。
ぬかるみに砂を入れる、草を取る、花壇の手入れ、日除けのテントを建てる、塩飴の用意、米寿ことぶき功労受賞者への筆書きの案内配布、ゼッケンの洗濯、歌舞伎調で「出しやがったな!」と笑い顔でいう様々な人達。
それぞれがチームを愛して大切にしている。出場者が六人いれば、交代要員を必ず出場させている。
このチームに出会えて良かった。
しかし、二ヶ月後の市内大会では、一ゲート通過が出来ない。他チームの人達までもが「ボールは最後まで目を離さないでね」。あれ? ん? どこかで聞いたのを思い出す。
技術力もメンタルも無い未熟者めがー! 体と態度は大きいのに気が小さいんだから、結局は0点、チームに申し訳なくてしょうがない。
市内になんだかものすごいレベル違いの「Kチーム」がいる。アドバイスして下さる、ありがたい。そう思いつつも、「そんなにして頂くと、そちらのチームに勝っちゃいますよ」、言ってから後悔している。
市ゲートボール協会内の技術向上に講習してもらえるし、ルール解説もある。やはりここでも「ボールから目を離さなで!」。この言葉は心に留め置いて、みんなとゲームを楽しみたいものである。
雨で練習が中止になると天気図を見るたびに、丸い低気圧マークをタッチしてアウトにしたくなる妄想にかられるほどに、かなりの重症でゲートボールにはまっています。