2010.02.12
JGU
エッセイ部門 入賞 母との絆
浅井朝子 さん(新潟県・66歳)
早くに夫を亡くし、家族のために働きつづけてきた母にゲートボールのスティックをプレゼントした。孫の子守も一段落した60才の頃だった。その時「まだ早いから」と押し入れにそっとしまった母がいつの間にかあのスティックを手に一生懸命練習していた。
亡くなる少し前まで自転車をこぎ、練習場に向かう母の姿がたくましく、今はなつかしい。そして今も、母とのおもいでの品として、プレゼントしたあの木製のスティックが我家に立てかけてある。
私もあの頃の母の年齢をはるかに越し、人に誘われ、ゲートボールをはじめて一年が過ぎ、昨年三級審判員の資格を取り、あの頃の母の様に一生懸命練習している。奥が深く、頭と技術がまったくついていけず、スランプに直面することもたびたびある。
そんなある日、母を知る先輩の方がゲートボールに対する母の姿勢など話してくれた。なぜか暖かく、なつかしい気持ちになる小柄な先輩。凛としてゲートに対する姿勢は他の人も一目置く存在でもある。まだまだ上手でない私にとっては見本となる良き先輩だ。
時々、同じように小柄だった母を思い出し、折れそうな気持ちを助けてもらい、もう少し頑張ってみようかと自分に言い聞かせている。
そんな私の目標は、母が自慢げにかざっていたメダルの数々、かなりの練習と努力で得たメダルなのだろう。
亡き母や先輩の背中を追いながら、めざせ一つ目のメダル‼ めざせ折れない強い気持ち‼