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ゲートボール国際会議で2011年の改正ルールを検証!

 

7つの国と地域から代表者が出席して
改正ルールについてディスカッション!



世界ゲートボール連合に加盟している、オーストラリア、ブラジル、日本、韓国、チャイニーズ・タイペイ、USA、香港(IOCコード順)の各代表者が参加し、2012年3月28日(水)〜30日(金)に東京品川区のガーデンシティ品川会議室で「ゲートボール国際会議」を開催しました。
今回の会議は、2011年に改正したルールについて、各国・地域の見解や現状報告、新たな提案などの意見交換を通して、次回のルール改正の際の参考にすることを目的として開かれました。
会議では、7つの国と地域からの意見のほか、中国からの意見書も披露され、改正ルールで好評な点やわかりづらい点、判定が難しい箇所などが報告されたほか、新たなゲームバリエーションの提案、さらには改正ルールによるゲーム分析の結果も発表され、世界の愛好者拡大に向けて充実した会議になりました。
なお、国際会議の主な内容は次の通りです。


改正ルールについての各国・地域の見解

2011年のルール改正は、通過タッチとタッチ通過を除く、ダブル・トリプルタッチによる複数打権がなくなった点をはじめとして、ゲーム戦略にも影響を与える大きな改正となりました。これは、ダブルプレーのためにコーナーにボールを固める作戦が増える中、ロングタッチやスライドタッチでコートを大きく使うダイナミックでスピード感あふれる競技に生まれ変わることで、一般の人が観ても感動するような競技にすることが目的でした。
この点については、各国・地域とも「喜んでいる」「歓迎している」「満足している」と、おおむね好評でした。
とくに、日本からは、ルール改正の目的である「競技をスピーディーにする、ダイナミックにする」に関して国内10カ所で調査した結果が発表され、95%が「効果があった」と回答したことを報告。ただし、オーストラリアからは、以前のような複数打権によるダブルプレー戦略を好む愛好者がいることも報告されました。
また、ルールの簡素化を目的として改正した、ゲートまたはゴールポールを介在したボールをすべて無効な移動にする点については、判定やボールの処置が複雑であるとの見解が多く、様々なケースをホワイトボードに示しながら活発な意見のやりとりがありました。
さらに、マナー改善を目的として改正した、統一していないユニフォームでプレーした場合は不正出場とする点については、ユニフォームの統一基準が雨具も含め、わかりにくいという見解が多く、チャイニーズ・タイペイと香港からは「統一基準がわかりにくいことからトラブルが多く、ゲートボール普及に良い影響を与えないのでは」との厳しい指摘もありました。


改正ルールによる変化など現状報告

上記のようなルール改正により、競技に様々な変化が見られるようになった現状報告が各国・地域より寄せられました。
各国・地域に共通の変化は「コートを広く利用したゲームの組み立てが増えた」「複数打権が少なくなったことから1ゲームの打順回数が増えた」「ロングタッチ、スライドタッチ、通過タッチ、タッチ通過の技術を生かす場面が増えた」「後半まで第1ゲートを故意に通過しない作戦が増えた」などです。
これらの変化により、ブラジルからは「若手の強豪チームにシニアチームが勝利できるチャンスが広がった」ことが報告され、韓国からは「ルール改正後は後攻を選択するチームが増え、また、スライドタッチやロングタッチの技術を練習するプレーヤーが増えている」との報告もありました。
また、日本からは、審判員の変化についても「競技の進行が早くなり、審判員の運動量が増えた」「記録員の任務が増えたため、主審・副審の負担が軽減された」との報告がありました。


新たなゲームバリエーションの提案

中国からの意見書により、中国では2011年の改正ルールを基本としながら、中国の現状を考慮し、独自に、様々なゲームバリエーションを生み出して実戦していることが報告されました。
また、チャイニーズ・タイペイと香港からも、中国のゲームバリエーションについて補足的な説明があり、「今後は、これらのゲームバリエーションを試していきたい」とのこと。
各国・地域からも「たいへんに参考なる」との感想が多く聞かれました。
中国が提案するゲームバリエーションは次の通りです。
○得点の上限を制限しないゲームバリエーション
一方のチームが25点を取得しても競技時間が30分間に達していない場合は競技終了とせず、再度、第1ゲート通過から競技を続ける。この競技方法により、常に攻めの姿勢が保たれ、競技のリズムも早くなり、観ても面白いスポーツとなる。
○通過タッチとタッチ通過の回数を制限するゲームバリエーション
通過タッチとタッチ通過の回数を1ゲーム中、各チーム2回までに制限することで、さらにロングタッチやスライドタッチの出番が増え、観るスポーツとしての面白さが増す。
○競技時間の制限をしないゲームバリエーション
5巡目までの合計得点で勝敗を決定し、打撃の際のタイムオーバーの反則もなしとする。ゆったりゲームを楽しめる、シニア向けの競技方法。
○競技を前半戦と後半戦に分けるゲームバリエーション
競技時間を40分間とし、前半戦と後半戦に分け、先攻と後攻を入れ替えることにより、両チームにとって、より公平な環境でゲームができる。


次回のルール改正に向けての提案

次回のルール改正に向けて、各国・地域から寄せられた提案で多かったのは「無効な移動やスパーク打撃違反など、判定やボールの処置が複雑な点をもっとシンプルにする」「ユニフォームの統一基準をわかりやすく設定する」です。
そして、オーストラリアとチャイニーズ・タイペイからは「国際大会で四角形など様々な形状のヘッドが見られるようになった現状から、ヘッドの形状を明確にしたい」との要望が出ました。
また、ユニークな提案として、「同点時における勝敗の決定方法を第1ゲートと第2ゲートの連続通過にして時間を短縮する」、「タイムオーバーの反則の際には8秒のあとに9秒、10秒をカウントすることで、トラブルを防止する」(以上、中国)、「クロッケー競技と同様に、チームの競技者以外からの戦略的なアドバイスを禁じるルールが必要」(オーストラリア)などの意見が飛び出しました。
さらに、「ゲームセットの宣告の際に、主審・副審・記録員がコートの中央付近に整列するのはゲームのエンディングにふさわしいセレモニーではないか」など、興味深い論戦も展開されました。

開会のあいさつをする、(公財)日本ゲートボール連合の遠藤容弘専務理事
 

国際会議に出席した各国・地域の代表者の皆さん。
左から、韓国のMr.KIM CHUNG WHEN、チャイニーズ・タイペイのMr.LIN CHIN FU、
日本のMr.YOSHIHIRO ENDO、USAのMr.SHIGERU TAIRA、ブラジルのMr.HATIRO HONDA、
オーストラリアのMr.KEITH McLEOD、香港のMr.LAI HUCK SON