公益社団法人 日本ゲートボール連合

全国選抜ゲートボール大会

2023.06.09

【第38回全国選抜ゲートボール大会】作戦分析〜どのような作戦で戦ったか!?

はじめに

データは男子クラスのリーグ戦からトーナメント戦までの77試合、女子クラスは70試合の序盤戦の作戦を採取した。

 

会場は陸上競技場のフィールドの天然芝コート。大会前日は台風2号の影響でグラウンドは水浸しの状態。大会初日は芝がまだ湿っていたためにボールの転がりが重く、2日目は順調に乾いたためにボールの転がりに影響しなかった。天然芝は高麗芝で、葉先が硬く、芝目(順目と逆目)の状況でボールの転がりに影響して、近い距離を軽めに打撃すると芝目に負けて距離が伸びない。遠い距離でも強く打撃するとボールが左右どちらかに曲がるという、非常にボールコントロールが難しいコートだった。

 

作戦名の説明

○主に先攻チームの作戦
2G2球=1G通過後に、1球が2G右前に、もう1球が2G横から後方に進む作戦
2G右前=1G通過後に2G右前に進む作戦
2G正面=1G通過後に2G正面に進む作戦
2G横(後ろ)=1通過後に2G右横から後方に進む作戦

 

▽先攻チーム、後攻チームともに使う作戦
2Gロング通過=1G通過に続き、長い距離の2G通過をねらう作戦

2Gロング通過失=1G通過後、2G通過に失敗したケース
強攻策=1G通過後に2G周辺の相手ボールへのタッチをねらう作戦
強攻策失=1G通過後、2G周辺の相手ボールへのタッチに失敗したケース

 

●主に後攻チームの作戦

第2ラインぎわ=1G通過後に2Gと第2コーナーとの中間地点に進む作戦
3G周辺=1G通過後に3G周辺に進む作戦
1G後方(第2コーナー)=1G通過後、1G後方、第2コーナー近くに進んだケース
第1コーナー=1G通過後に第1コーナー(スタートエリア右横のコーナー)に進む作戦
2巡目第2ラインぎわ=2巡目の1G通過後に、2Gと第2コーナーとの中間地点に進んだケース

 

 

 

男子クラスは先攻チームが42勝35敗と勝ち越す

不安定なコート状況であるために手堅い作戦を取る傾向が見られた。
表1のとおり、先攻チームは42勝35敗と勝ち越した。
赤字部分が主な先攻チームの作戦だが、2G2球作戦19ゲームを14勝5敗、2G右前作戦32ゲームを17勝15敗、2G正面作戦5ゲームを3勝2敗、2G横(後ろ)作戦3ゲームを3勝0敗とし、この59ゲームを37勝22敗と完勝した。遠距離の2Gロング通過や、強攻策を控えることが多く、わずか3ゲームにとどまり1勝2敗に終わった(黒字部分)。
そして後手に回った第2ラインぎわ作戦から3G周辺作戦まで(青字部分)の15ゲームを4勝11敗と大きく負け越したが、大きな貯金がものをいった。

 

表2の通り、後攻チームは35勝42敗と及ばなかった
後攻チームは第2ラインぎわ作戦(2巡目を含む)37ゲーム(青字部分)を14勝23敗と大きく負け越したことが痛かった。天然芝のラインぎわは傾斜があったり、芝目が硬かったりしてボールを進めることが難しく、ラインから浮いたところを後続の先攻ボールにねらわれた。また、黒字部分の2Gロング通過作戦から強攻策失の作戦までの13ゲームは4勝9敗に終わった。
そして、先手をもらった赤字部分の2G2球作戦から2G正面作戦までの17ゲームを13勝4敗とし、意地を見せた。
 

ちなみに、優勝したストロング取手(茨城)は先攻で1勝、後攻で3勝1敗(リーグ第7試合はデータ不採取のため不詳)と後攻を多く選択した。
準優勝のよりも(大分)は先攻が3勝1敗、後攻が2勝1敗と、どちらを選択してもベテランらしい闘いぶりだった。

 

女子クラスは先攻チームが41勝29敗と、大きく勝ち越す

表1のとおり、先攻チームが41勝29敗と勝ち越した。
とくに、70ゲームのうち、序盤戦で2G周辺を抑えた作戦(赤字部分)が45ゲームもあった。2G2球作戦36ゲームを23勝13敗と大きく勝ち越したが、2G右前作戦8ゲームを2勝6敗、2G正面作戦1ゲームを0勝1敗と負け越した。
しかし、黒字部分の2Gロング通過作戦と2Gロング通過失作戦6ゲームを5勝1敗、強攻策1ゲームを1勝0敗とし、男子クラスが敬遠した遠距離のブレーに果敢にチャレンジした意気込みは素晴らしかった。
そして後手に回った青字部分の第2ラインぎわ作戦から第1コーナー作戦までの18ゲームを10勝8敗と勝ち越して、着実に勝ち星を積み重ねた。

 

表2のとおり、後攻チームは29勝41敗と、とても及ばなかった。
後攻チームは、青字部分の第2ラインぎわ作戦から1G後方(第2コーナー)作戦までの33ゲームを14勝19敗と負け越した。黒字部分の2Gロング通過作戦から強攻策までの12ゲームを6勝6敗として、五分五分の健闘。そして、先手をもらった赤字部分の2G2球作戦と2G右前作戦の25ゲームを9勝16敗と大きく負け越して、先攻チームにとても及ばなかった。

 

ちなみに、優勝した虹(大阪)は先攻で2勝0敗、後攻で5勝0敗と、後攻を多く選択している。
準優勝のかすみチーム(福井)は先攻で3勝2敗、後攻で1勝0敗と、どちらかというと先攻を多く選択している。

 

作戦分析&文/高橋隆輔(スポーツライター)

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