公益社団法人 日本ゲートボール連合

全国選抜ゲートボール大会

2024.07.21

【第39回全国選抜ゲートボール大会】決勝戦の勝因を打撃表から分析!

2024年6月15日・16日に東京都世田谷区・駒沢オリンピック公園 第二球技場の人工芝コートで開催された第39回全国選抜ゲートボール大会の男子クラスと女子クラスの各決勝戦について、対戦チームの打撃表(打撃内容)から勝因を分析してみよう。

男子クラス決勝戦のゲーム内容
先攻 山形 舘クラブ(山形) 9-14 後攻 ナイスボール(山口)
ナイスボールが3巡目に白2番のロングタッチで大逆転!

●1巡目
ともに一番打者が第1ゲート通過に失敗。山形 舘クラブは赤3番、赤5番、赤7番が第1ゲートを通過して第2ゲート周辺に進んだ。ナイスボールは白4番が第1ゲート通過に続き、第2ゲートも通過して第3ゲート左前に進み、白6番は第1ゲートを通過して第3ゲート右後方に進んだ。白8番は浅く第1ゲートを通過したので第1コーナー近く、第1ラインぎわに進んだ。白10番は第1ゲートを通過して赤3番へのロングタッチをねらったが、外して第2ゲート右後方に止まった。両チームとも積極的にボール配置を組み、得点は赤3―5白と、ナイスボールが優位な展開になった。

 

●2巡目
山形 舘クラブは赤3番、赤5番が第2ゲートを通過した。ナイスボールは白4番が第3ゲートを通過したが、白6番ヘのタッチに失敗し、第3ゲート左前に止まった。赤7番は第2ゲート利用の通過タッチを決め、第3ゲート周辺の白4番、白6番に付け球の赤3番、赤5番を送り、得点は赤7―6白となり、局面を逆転した。

 

●3巡目
赤1番が第1ゲートを通過して第3ゲート左前に進んだあと、白2番は第1ゲートを通過して第3ゲート左前の白4番にロングタッチを決めた。そして赤3番、赤1番、赤5番をアウトボールにして局面を再逆転した。その後、両チームとも1点を加えて得点は赤9―8白になる。

 

●4巡目
アウトボールの打ち入れが多い山形 舘クラブに対して、ナイスボールは2点を加えて赤9―10白とし、ついに点数を逆転した。

 

●5巡目
ナイスボールは白2番が第2ゲート利用の通過タッチを決め、白6番が第3ゲートを通過してゴールポール近くの赤7番にタッチしたところで競技時間終了となり、赤7番をアウトボールにして上がった。得点は赤9―14白で、ナイスボールは鮮やかな逆転劇を決めた。

 

打撃表から分析するナイスボールの勝因
ナイスボールはロングタッチを含めた合計タッチ数で圧倒

打撃表を見る限り、ナイスボールが山形 舘クラブに大きく差を付けているとは思えない。
しかし、圧倒的に勝っているのがロングタッチ「2」、通過タッチ「1」を含めたタッチ合計数の「23」、スパーク打撃で相手ボールをアウトボールにした「6」、そして数こそ少ないが付け球の「1」である。
この付け球は白2番が赤3球をアウトボールにした3巡目の終了時に白10番が白2番を赤7番に付けたものである。ちなみに、白2番とはナイスボールの半田登志夫主将のボール、赤7番とは山形 舘クラブの宇野仁一主将のボールである。
終盤戦になろうかというのに、山形 舘クラブは上位打線の赤3球と、主将ボールをアウトボールにされては、とても勝ち目がなかった。
ナイスボールの半田主将は3巡目のロングタッチと4巡目の付け球で試合巧者の山形 舘クラブを破ったといえる。
試合後、半田主将は嬉しい全国大会制覇を決めて破顔一笑。一方、敗れたものの、山形 館クラブの宇野主将は各ゲームでスタートに残る選手たちに「頑張れ、頑張れ」と激励する声がコダマする心地よい采配だった。

 

女子クラス決勝戦のゲーム内容
先攻 コバトンフレンド(埼玉) 7-11 後攻 ひまわり(熊本)
ひまわりの白10番、目が覚めるようなスライドタッチを決める

●1巡目
コバトンフレンドは赤1番が第1ゲート通過に失敗したあと、赤3番が第1ゲートを通過し、第2ゲート右後方、第2ライン寄りに進み損なってアウトボールになる。このため、後続の赤5番、赤7番に第1ゲート通過を見送らせて、赤9番に第1ゲート通過を託したが、通過に失敗した。ひまわりは白2番が第1ゲートを通過して第2ゲート右前に進む。白4番は第1ゲートを通過して、第3ライン中間、第3ライン寄りに進み損なってアウトボールになる。白6番が第1ゲー通過を見送ったあと、白8番は第1ゲートを通過して、第3ライン中間、第3ラインから離れた地点に進む。白10番は第1ゲート通過して、第2ゲート右横に進む。得点は赤1―4白で、コバトンフレンドは不本意な状況、ひまわりは優位な展開になる。

 

●2巡目
コバトンフレンドは赤1番が第1ゲートを浅く通過したために、第1ゲートを右横、第1ラインぎわに進んだ。アウトボールの赤3番が第1ゲート後方に打ち入れたあと、第1ゲートを通過した赤5番は赤3番にタッチして第2ラインぎわに送り、ロングの第2ゲート通過に失敗する。第1ゲートを通過した赤7番、赤9番は第1ゲート後方や、第1ラインぎわに進むが、不安定なボール配置になる。一方、ひまわりは着々と追加点をあげて赤5―6白とする。

 

●3〜4巡目
得点が伸びないコバトンフレンドはようやく1点をあげるが、ひまわりは2点を追加して赤6―8白とする。
このような状況を打破したのが、白10番の目が覚めるようなスライドタッチだった。第3ライン中間、第3ライン寄りの地点から第1ゲート後方まで約10mの距離を進んだ。第2ゲート右前の赤3番を除き、赤4球をアウトボールにした。

 

●5巡目
コバトンフレンドは1点をあげたものの、ひまわりの白4番が第3ゲート通過、上がりを決めて赤7―11白と逃げ切った。

打撃表から分析するひまわりの勝因
ひまわりは多くの打撃機会を獲得し、タッチと合わせ球で勝利をつかむ

打撃表を見れば一目瞭然、多くの打撃内容でひまわりがコバトンフレンドに大きく差を付けている。
圧倒的に勝っているのが打数の「71」、スライドタッチ「3」、ダブルタッチ「1」、タッチ通過「1」、ロングタッチ「1」を含めたタッチ合計数の「21」、そして合わせ球「4」である。
この合わせ球のうち、2回は4巡目の終了時に白10番が約10mを進んだスライドタッチで赤4球をアウトボールにしたときに行ったものである。白10番とはひまわりの高濱希三子主将で、自らの手で栄冠をつかんだ。一方、コバトンフレンドにとっては消化不良のゲームとなったといえよう。

 

 

打撃分析&文/高橋隆輔(スポーツライター)

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