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2019年 競技結果
入賞チーム一覧
トーナメント戦の結果
2次リーグ戦の結果
1次リーグ戦の結果
大会レポート
作新学院(栃木)がさらなる進化を遂げて2連覇達成!
チーム編成に年齢・性別の制限がないことから、実力日本一決定戦といわれる本大会が、2019年9月28日(土)・29 日(日)、滋賀県長浜市の長浜バイオ大学ドーム(人工芝)で開催された。
今大会には、前回優勝の作新学院(栃木)と、都道府県予選会を勝ち抜いた計48チームが出場し、日本一の栄冠を競った。
今回は、2連覇を目指す作新学院のほか、前回準優勝で過去2回の覇者である萬燈組A(愛知)、第3位の大垣心友会(岐阜)、第3位の小松島ネクサスのメンバーが中心の小松島クラブ(徳島)と昨年の入賞チームがすべて出場するなど、日本一決定戦にふさわしい実力派が顔を揃えた。
競技は、最初に1次リーグ戦で4チームリーグ戦を行い、各リーグの上位2チームが2次リーグ戦に進出。2次リーグ戦は4チームリーグ戦で各リーグの1位チームと、2位チームのうち上位2チームの計8チームがトーナメント戦に進む方式がとられた。
1次リーグ戦は、有力候補と目されるチームは順当に勝ち抜けたが、第10コートで波乱が起きて第33回大会準優勝の北建ジーンズ(福岡)が0勝3敗で予選落ち。代わりに初出場のクレスト(千葉)が3戦全勝で躍り出た。また、第9コートでは湘南ちがさき(神奈川)の和田悠誠(ゆうせい・11)、賢慎(けんしん・8)兄弟のプレーに多くの人々が魅了され、拍手喝采を送っていた。ちなみに和田兄弟は今夏の第24回全国ジュニア大会2部クラスで優勝したさがみっ子の主力選手である。そのほか、初出場の作新CLUB(栃木)、月知梅(宮崎)、福島(岡山)が2勝1敗と健闘し、見事に勝ち上がった。
次の2次リーグ戦を3戦全勝で勝ち抜いたのは作新学院と萬燈組Aの2チームのみ、残る6チームは2勝1敗の激戦を切り抜けた。そして最後の席は湯の川(島根)と小豆島豊栄(香川)が得失点差が同じ13点になり、抽選で小豆島豊栄が勝ち上がった。
トーナメント1回戦、作新学院は1巡目に小豆島豊栄の2球を一掃し、そのまま優勢を保ち逃げ切った。もりおか木曜クラブ(岩手)は、黒田庄(兵庫)を相手にシーソーゲームで辛勝。今大会を盛り上げた湘南ちがさきは小松島クラブを下した。萬燈組Aは朝霞リンクス(埼玉)を貫禄勝ちで押し切った。
準決勝、湘南ちがさきVS萬燈組Aは、萬燈組の第2ラインぎわ作戦を、今大会最年少の和田賢愼くんが阻止したが、結局は萬燈組の反撃を許し、涙を飲んだ。もう一方のもりおか木曜クラブVS作新学院は、作新学院の一方的な展開になり、大勝した。
決勝戦は前回と同じ組み合わせとなり、作新学院のV2を萬燈組Aがいかに阻止するかに観客の興趣がつのっていた。
1巡目、先攻の作新学院は赤1番、赤7番が第2ゲート周辺を抑え、赤9番が第1ゲート通過から一気にロングの第2ゲート通過を決める。後攻の萬燈組Aは全球が第1ゲート通過を見送る。2巡目、作新学院は赤1番、赤7番が第2ゲートを通過し、萬燈組Aは白2番が第2ラインぎわ作戦を仕掛け、白10番が白2番を拾って第2ゲート利用の白2番の通過タッチをセットする。3巡目、萬燈組Aの白2番の通過タッチは不発に終わる。その後は、両チームともに小康状態となるが、6巡目、満を持していた作新学院の攻撃がさく裂。赤1番、赤7番の上がりなど一気に6点をあげて16—7と快勝し、見事にV2を飾った。
「今回は初めて追われる立場になり、負けられないというプレッシャーとの戦いでした。いつもとは違う緊張感で、1次リーグ戦の初戦は危うく落とすところでした。でも、試合を重ねていくごとにいつも通りのプレーに戻り、みんなで声を掛け合って楽しく試合をすることができました。決勝戦は、狙えば当たるコートなので、最初から早めに攻めて序盤から有利に展開できたことが勝因です。2連覇できて、すごくうれしいです」(作新学院・片柳尚記主将)
作戦分析~どのような作戦で戦ったか!?
長浜バイオ大学ドームの人工芝コートで開催された「文部科学大臣杯 第35回全日本ゲートボール選手権大会」では、序盤戦の作戦は、どのような作戦が選択され、どの作戦が好成績をあげたのか?
1次リーグ戦からトーナメント戦までの115ゲームの序盤戦の作戦別勝敗数データを採取し、先攻と後攻に分けて分析してみた。
【文中&表の略語】
1G=第1ゲート 2G=第2ゲート 3G=第3ゲート GP=ゴールポール
【作戦名の説明】
2G2球=1G通過後に、1球が2G右前に、もう1球が2G横から後方に進む作戦
2G右前=1G通過後に2G右前に進む作戦
2G横(後ろ)=1通過後に2G右横から後方に進む作戦
2G正面=1G通過後に2G正面に進む作戦
2Gロング通過=1G通過に続き、長い距離の2G通過をねらう作戦
2Gロング通過失=1G通過後、2G通過に失敗したケース
強攻策=1G通過後に2G周辺の相手ボールへのタッチをねらう作戦
強攻策失=1G通過後、2G周辺の相手ボールへのタッチに失敗したケース
第2ラインぎわ=1G通過後に2Gと第2コーナーとの中間地点に進む作戦
第2ラインぎわ浮き=1G通過後に2Gと第2コーナーとの中間地点に進む作戦で、第2ラインから浮いて(離れて)しまったケース
2巡目第2ラインぎわ=2巡目の1G通過後に、1G通過後に2Gと第2コーナーとの中間地点に進んだケース
2巡目第2ラインぎわ浮き=2巡目の1G通過後に、1G通過後に2Gと第2コーナーとの中間地点に進もうとして、第2ラインから浮いて(離れて)しまったケース
3G周辺=1G通過後に3G周辺に進む作戦
GP周辺=1G通過後に、GP周辺に進んだケース
1G後方(第2コーナー)=1G通過後、1G後方、第2コーナー近くに進んだケース
2巡目1G後方(第2コーナー)=2巡目の1G通過後に、1G後方、第2コーナー近くに進んだケース
第1コーナー=1G通過後に第1コーナー(スタートエリア右横のコーナー)に進む作戦
【コート状況など】
会場は屋内の人工芝コート。砂がまかれていたが、砂が厚め、あるいは薄めにまかれている所がある。厚めの砂の所はボールの転がりが重く、多少の傾斜があり、強めに打撃しなければならない。薄めの砂の所はボールの転がりがよく、軽めに打撃してもよかった。
このような不安定なコート状況であるため、厚めの砂の所は打撃したボールが思い通りの地点に進まない。そのうえ軽打すると、打球が止まったり曲がったりする。長距離を進める場合は強打が必要だが、厚めと薄めの混雑しているため、ボールが曲がりボールをコントロールすることが難しいようだった。
【先攻チームの作戦分析】
先攻チームが2G2球作戦で大勝し、59勝56敗とわずかに勝ち越す
表1のとおり、先攻チームが59勝56敗とわずかに勝ち越した。
2G2球作戦の43ゲームを28勝15敗と大勝したが、2G右前作戦から2G正面作戦(赤字部分の下3つ)までの41ゲームは22勝19敗とわずかのリードに終わった。
そして後手に回った第2ラインぎわ作戦から3G周辺作戦(青字の部分)までの26ゲームを8勝18敗と大きく負け越し、2Gロング通過作戦(黒字の部分)を1勝4敗とし、リードが減った。
ちなみに、先攻を選択したチームの中で、優勝した作新学院(栃木)、準優勝の萬燈組A(愛知)はともに4戦全勝、湯の川(島根)、東京ニコニコクラブ(東京)はともに3戦全勝、ベスト8の小松島クラブ(徳島)は4勝1敗と、人工芝コートを得意とするチームに分があった
【後攻チームの作戦分析】
後攻チームは第2ラインぎわ作戦で苦戦し、56勝59敗とわずかに及ばず
表2のとおり、後攻チームは第2ラインぎわ作戦から第1コーナー作戦(青字の部分)までの42ゲームを11勝31敗と大きく負け越した。
とくに第2ラインぎわ作戦はボールをラインぎわに進めることが難しく、ラインから浮いた(離れた)ところを後続の先攻ボールにねらわれた。
また、2Gロング通過作戦(黒字部分の上2つ)の27ゲームは11勝16敗だったが、強攻策作戦(黒字部分の下2つ)の16ゲームを12勝4敗に持ちこみ、先手をもらった2G2球作戦から2G横(後ろ)作戦まで(赤字の部分)の30ゲームを22勝8敗とし、ばん回することができた。
ちなみに後攻を選択したチームの中では、クレスト(千葉)が3戦全勝、優勝の作新学院、準優勝の萬燈組Aがともに4勝1敗、ベスト8の朝霞リンクス(埼玉)が5勝2敗と、人工芝コートに対応していた。