公益社団法人 日本ゲートボール連合

文部科学大臣杯 全日本ゲートボール選手権大会

2024.10.19

【第41回全日本ゲートボール選手権大会】決勝戦の勝因を打撃表から分析!

2024年10月5日(土)・6日(日)に岡山県倉敷市の水島緑地福田公園 ラグビー・サッカー場の人工芝コートで開催された文部科学大臣杯 第40回全日本ゲートボール選手権大会の決勝戦について、対戦チームの打撃表(打撃内容)から勝因を分析してみよう。

決勝戦のゲーム内容
先攻 霧島クラブ 12ー8 後攻 阿蘇クラブ
霧島クラブは後半のピンチをスライドタッチ合戦に勝利して脱する

●1巡目
霧島クラブの赤1番、赤5番は第1ゲートを通過し、第2ゲート周辺を固める。赤3番、赤7番、赤9番は第1ゲート通過を見送る。
阿蘇クラブは全球が第1ゲート通過を見送り、この奇策が霧島クラブに通用するのか興味が持たれた。
得点は赤2―0白

 

●2巡目
赤1番は赤5番にタッチしてスパーク打撃で第2ゲート右前に送り、自球は第3ライン中間のラインから離れた地点に進む。白2番、赤3番は第1ゲート通過を見送り、白4番は第1ゲートを通過し、続く第2ゲート通過を外して第2ゲート右後方、第2ライン寄りに止まる。赤5番は第2ゲートを通過し、赤1番にタッチ。赤1番を第3ゲート右前に送り、自球は第3ゲート左正面に進み、3巡目での通過タッチをセットする予定だ。
白6番、赤7番は第1ゲート通過を見送り、白8番は第1ゲート通過に失敗。赤9番は第1ゲートを通過し、第2ゲート右前に進む。白10番は第1ゲート通過に続き、続く第2ゲート通過に成功。白4番にタッチし、白4番を第2ゲート右横、第2ラインから少し離れた地点に送り、赤9番へのタッチをねらわせる予定だ。続けて白10番は第3コーナー近く、第2ライン寄りに進み、第2ゲートを通過してくるはずの白2番への受け球に入る。
得点は赤4―3白。 

 

●3巡目
赤1番は赤5番にタッチして第3ゲート右正面に送り、自球は第3ゲート右裏に進んで通過タッチをセット。白2番、赤3番は第1ゲート通過を見送り、白4番は赤9番へのタッチを外して第2ゲート右斜め前、第2ライン寄りに止まる。
赤5番は第3ゲート利用の通過タッチに成功。赤1番を第3ライン中間のラインから離れた地点に送り、2打権で白4番にタッチしてアウトボールにする。続いて赤9番へのタッチを外して第2ゲート右横、第2ライン寄りに止まる。
白6番、赤7番は第1ゲート通過を見送り、白8番は第1ゲートを通過し、続く第2ゲート通過を外して第2ゲート右後方、第2ラインぎわに止まる。赤9番は第2ゲートを通過して赤1番へのロングタッチを決める。赤1番を第2ゲート右正面に送ってから、自球は第3ゲート右前に進む。白10番は第3コーナー隅に進む。
得点は赤6―4白。

 

●4巡目
赤1番は第2ゲートを通過し、第3ゲート左正面に進む。白2番は第1ゲート通過を見送り、赤3番は第1ゲートを通過し、第2ゲート右前、赤5番の前に進む。アウトボールの白4番は第1ゲート右前、第4ラインぎわに打ち入れる。赤5番は赤3番にタッチし、第2ゲート右前、第2ラインぎわに送り、自球は第4コーナー寄りの第3ライン中間、ラインから離れた地点に進む。白6番は第1ゲートを通過し、続く第2ゲート通過を外して第2ゲート右後方、白8番の前に止まる。赤7番は第1ゲート通過を見送る。
白8番は白6番にタッチして、白6番を第3コーナー隅の白10番の前に送り、自球も白10番の右斜め前に進んで、初めて攻めの陣形を整えた
赤9番は赤1番にスライドタッチをし、第3ゲート左横に進む。赤1番を第3ゲート右前、第4ラインぎわに送り、自球は赤1番の右斜め前に進む。白10番は白6番にタッチし、白6番を第2ゲート右斜め前、第2ライン寄りに送り、続いて白8番にタッチし、第3コーナー隅、第2ライン寄りに送る。自球は第2ゲート右後方、第2ライン寄りに進む(競技時間終了15分前)。
得点は赤8―5白。

 

●5巡目
霧島クラブはチャンスの機会をつかみ、総攻撃にかかる
赤1番は赤9番にタッチし、第3ライン中間のラインから離れた地点に送り、自球は第3ゲートを通過し、第3ゲートと第4コーナーの中間のラインぎわに進む。白2番が第1ゲート通過に失敗したあと、赤3番は第2ゲートを通過し、赤9番へのロングタッチを外して、第4ライン寄りに止まる。白4番は第1ゲート後方、第2ライン寄りに進み損なってアウトボールになる。もしも白4番がコートに残っていたら、阿蘇クラブに大逆転の目が残っていたかもしれない。
赤5番は赤9番にタッチし、赤9番を第1ゲート左後ろに送り、スタートに残っている赤7番への受け球にした。このとき、赤5番は赤9番の近くに進み、赤7番に赤5番を拾わせておけばよかったのだが、赤5番は第1ゲート左前に進んでしまい、孤立してしまう。スタートには白2番が残っているため、危険な状態になる(競技時間終了10分前)。
白6番は第2ゲートを通過し、第3コーナー隅の白8番の前に進む。赤7番は第1ゲートを通過し、赤9番にタッチし、赤9番を第3ゲート右正面に送り、自球は第3ゲート左後ろに進むが、通過タッチのセットにはならなかった。白8番は白6番にタッチし、白6番を第2ゲート右後方、第2ライン寄りの白10番の横に送り、自球は白6番の斜め前に進む。阿蘇クラブは最後の手段として白10番へのスライドタッチ用の受け球を予定した。
赤9番は第3ゲートを通過し、赤7番にタッチし、赤7番を第3ゲート右前、第4ライン寄りに送り、孤立している第1ゲート左前の赤5番へのロングタッチを外して第1ゲート右前に止まる。霧島クラブにピンチが訪れる
白10番は白6番にタッチし、第2ゲート左前に送る。続いて白8番にスライドタッチをして第3ゲート左前に進む。白8番を第2ゲート右後方に送ったあと、第3ゲートを通過する。次いで赤7番にタッチし、赤1番に合わせる。赤1番ははじかれて第3ライン中間、第3ラインから離れた地点に止まり、赤7番は第4ライン外にアウトボールになる。続いて、赤5番へのロングタッチを外して第1ゲート右前、赤9番の横に止まる。
得点は赤12―7白。

 

●6巡目
競技時間終了5分前
赤1番は第3ライン中間のラインから離れた地点、赤3番の前に進み、スライドタッチ用の受け球に入る。白2番は第1ゲートを浅く通過し、白10番にタッチし、白10番を第2ゲート右前、第2ライン寄りに送る。続いて赤5番、赤9番に次々にタッチして、2球とも赤3番に合わせるが、いずれも外れて、赤5番と赤9番のみ第4コーナー方面のライン外にアウトボールにする。白2番は第2ゲート右前、第2ライン寄り、白10番の前に進む。
赤3番は赤1番にスライドタッチをし、第2ゲート左後方に進む。スパーク打撃での赤1番の上がりに失敗したあと、白8番にタッチし、白10番に合わせるが、白8番のみを第2ゲート前方、第2ライン外にアウトボールにする。続いて白2番へのロングタッチを決め、白2番を第2コーナー、第1ライン外にアウトボールにする。次いで白10番にタッチし、白10番を第2ゲート右前、第2ライン外にアウトボールにする。そして、白6番にタッチ(ここで競技時間終了)。白6番を第2ゲート右前、第2ライン外にアウトボールにして、第2ゲート右前に進む。白4番がアウトボールのため、ゲームセット。
得点は赤12―8白。

 

霧島クラブは後半のピンチから脱して大詰めのスライドタッチ合戦になったが、結局は霧島クラブが勝ち、念願の全日本選手権を初制覇した。

打撃表から分析する霧島クラブの勝因
阿蘇クラブの攻めが遅れたため打撃全体で霧島クラブが上回る

霧島クラブ(鹿児島)の楠見慎太郎主将(41)

阿蘇クラブ(熊本)の市原敏文主将(37)

霧島クラブは、今大会において、序盤戦、中盤戦を赤1番、赤5番、赤9番で戦い、終盤戦に切り札の赤3番、赤7番を投入するという戦術を展開してきた。阿蘇クラブはこれを把握して、決勝戦では白2番、白6番をスタートに残して切り札をマークし、後半追い込み策で対応した。

 

打撃表を見ると、全体的に霧島クラブが阿蘇クラブに上回っている。その理由は、阿蘇クラブが積極的に勝負を挑んでこなかったからと思われる。
その結果、打数、タッチ、通過タッチ、ロングタッチ、スパーク打撃などの項目で、少しずつ阿蘇クラブが遅れをとっていた。
また、阿蘇クラブのゲート通過率が62%と、霧島クラブの92%に比べて低いのは、第1ゲート通過に続く一気の第2ゲート通過の成功率が低かったためである。

 

打撃分析&文/高橋隆輔(スポーツライター)
撮影/伊藤守

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