公益社団法人 日本ゲートボール連合

文部科学大臣杯 全日本ゲートボール選手権大会

2025.11.07

【第41回全日本ゲートボール選手権大会】決勝戦の勝因を打撃表から分析!

2025年11月1日(土)・2日(日)に徳島市のワークスタッフ陸上競技場(天然芝コート)で開催された「文部科学大臣杯 第41回全日本ゲートボール選手権大会」。
ここでは、決勝戦の展開を振り返り、両チームの打撃表をもとに、勝利チームの勝因を分析します。

決勝戦の展開
先攻 霧島クラブ(鹿児島)VS 後攻 大垣心友会(岐阜)

全審判員・運営スタッフ・観客からの拍手を浴びながら、決勝コートに入場する霧島クラブ・楠見笑来(えくる)選手(12)

霧島クラブ(鹿児島)・楠見慎太郎主将(42)

大垣心友会(岐阜)・島田龍明主将(36)

【1巡目】霧島クラブ、序盤から作戦を読み切る
霧島クラブの赤1番は第1ゲートを通過し、第2ゲート右前・第2ライン寄りに進む。大垣心友会の白2番は第1ゲートを通過し、第2ゲートと第2コーナーの中間・第2ラインから離れた地点に進む。大垣心友会は霧島クラブの赤3番、赤5番、赤7番が第1ゲート通過を見送り、赤9番が第1ゲートを通過して、第2ゲート右前の赤1番と連係するものと確信して、白2番を第2ラインから離れた地点に進ませたように思える。
思惑どおり、霧島クラブの赤3番は第1ゲート通過を見送り、大垣心友会の白4番は第1ゲートを通過し、白2番にタッチして白2番を第2ライン寄りにスパーク打撃で送ってから、長距離の第2ゲート通過を果たし、第2ゲート右後方・第2ラインぎわに進む。
しかし、霧島クラブの赤5番は第1ゲートを深く通過し、白2番にタッチして第1ゲート右前・第4ライン外にアウトボールにした。続いて赤1番にタッチし、第2ゲート右前に送り、自球は赤1番の前に進む。白6番、赤7番、白8番が第1ゲート通過を見送ったあと、赤9番は第1ゲートを通過し、第2ゲート左後方に進み、第2ゲート前の赤2球の受け球になる。白10番は第1ゲート通過を見送る。
得点は赤3―3白だが、霧島クラブが完全に大垣心友会の作戦を読み切り、いち早く赤1番と赤5番が第2ゲート右前で連係し、第2ゲートを抑えているので有利な展開になっている。

 

【2巡目】じわりと主導権を握る霧島クラブ
霧島クラブは赤1番、赤5番、赤9番が第2ゲートを通過して、第3ゲート前方に進み、赤5番が赤1番のために第3ゲート利用の通過タッチをセットする。
得点は赤6―3白となり、霧島クラブがじんわりと大垣心友会を圧倒しているという展開になった。

 

【3巡目】大垣心友会に不運続き、霧島クラブがリードを広げる
霧島クラブは赤1番が第3ゲート利用の通過タッチに成功したが、2打権を第3ゲート右前の赤9番のタッチプレーに使ったために、大垣心友会への攻めがなくなった。
大垣心友会の白4番は第2ゲートを通過して、第3ゲート右前の赤9番へのロングタッチを決める。赤9番をアウトボールにして、第3ゲート右前・第4ライン寄りにいる赤1番にタッチするが、自球がジャンプして第4ライン外にアウトボールになるという不運が訪れる。近くに赤5番も位置しているので、霧島クラブは幸運にも2球がアウトボールにならずに済んだ。
しかも、大垣心友会はテクニシャンの白10番が第1ゲートを通過し、第2ゲート右前の白2番にタッチしたものの、はじかれて第2ライン外にアウトボールになる。これで大垣心友会はチャンスメーカーの白4番、白10番がアウトボールになり、コートには白2番、白6番だけになった。
得点は赤7―5白と、霧島クラブがリードし、完全に霧島ペースになっている。

 

【4巡目】霧島クラブが守備的布陣でリードを固める
霧島クラブはスタートに残る赤3番、赤7番のために、第2ゲート右後方・第1ライン中間・第1ライン寄りに赤5番、赤1番を進める。第2ゲート左後ろの白2番は白6番にスライドタッチをして第1ライン中間地点に進もうとしたが、打球がスッポ抜けて、第2ゲートと第2コーナーの中間・第2ラインから離れた地点に止まる。赤3番は第1ゲートを通過し、赤5番、赤1番にタッチし、2球を第3ゲート周辺に戻して自球も第3ゲート右裏に進む。
白6番がスタートの白8番のために第1ゲート左後ろに進み、反撃の足がかりをつくる。赤7番は第1ゲートを通過し、白2番にタッチしてアウトボールにして、長距離の第2ゲート通過をねらうが、ゲート左脚に当たり、第2ゲート左後方にはじかれる。
ここで白8番は第1ゲートを通過し、白6番にスライドタッチをする。打球はゴールポールに当たって第2ゲート左上に止まる。白6番を第2ゲート右前に送り、赤7番へのタッチをねらうが、外して第2ゲート右後方に止まる。大垣心友会の最後の見せ場も終わり、得点は赤10―7白になる。

 

【5巡目】圧巻の17連続プレー! 赤7番が決めた“神技”
この回の最後に、霧島クラブの赤7番の神技プレーが飛び出した。
霧島クラブは第2ゲート後ろに赤7番、赤1番、赤3番、赤5番の4球を集結させ、赤9番は第3ゲート右前に位置する。大垣心友会は白8番が第2ゲート右後方、白2番が第3ゲート右正面に位置し、白10番、白4番、白6番が第1ゲート左後方・第2ラインから離れた地点に位置する状況。
競技時間残り3分強。赤7番は赤1番にタッチし、スパーク打撃で赤1番を上げる。続いて赤3番にタッチし、赤3番を第1ゲート左前に送る。次いで赤5番にタッチし、赤5番を白8番に合わせて白8番を第3コーナー近く・第3ライン外にアウトボールとしたが、赤5番は第2ゲート右後方に残る。さらに白4番にロングタッチし、白4番を白10番に合わせて2球とも第2ゲート右前・第2ライン外にアウトボール。近くの白6番にタッチし、白6番を第3ゲート近く・第3ライン外にアウトボール。長距離の第2ゲート通過を決めて、白2番にロングタッチ。ここで競技時間終了。白2番を第3ゲート右前・第4ライン外にアウトボール。近くの赤9番にタッチし、赤9番をスパーク打撃で第3ゲート通過。自球も第3ゲートを通過し、長距離の上がりを決める。
この間、連続17プレー。赤1番の上がり、赤9番の第3ゲート通過、自球の第2ゲート通過・第3ゲート通過・上がりで計7点。相手球5球をアウトボールとするビッグプレーを披露した。
得点は赤17―7白となり、霧島クラブは2年連続日本一の座に就いた。

 

打撃表から見る霧島クラブの勝因
―1巡目で作戦成功、以後すべての打撃で圧倒―

「フカフカと柔らかく毛足が長い」というティフトン芝のコートに、多くのチームが多くのチームが苦しめられた中、霧島クラブはベテランぞろいのテクニシャン集団。
またぎ打法のジュニア選手(赤9番・楠見笑来選手)以外は、芝生面を掃くような打ち方でボールをコントロールしていた。
打撃表を見ると、霧島クラブはすべての部門で大垣心友会を上回っており、まさに完封に近い内容。
その要因は、1巡目の両チームの作戦の成否にあったと言える。
大垣心友会の敗因は、まず1巡目の霧島クラブの作戦を読み違えたこと。
さらに3巡目の白4番・白10番のアウトボール、そして4巡目に白8番が赤7番にタッチできていれば、5巡目の赤7番のビッグプレーはなかったかもしれない。
国スポで5度の頂点に輝いた王者・大垣心友会にとって、これほどの完敗は初めての経験となったのではないか。

 

打撃分析&文/高橋隆輔(スポーツライター)
撮影/伊藤守

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